町田市@東京都にて、哲学・思想・美術書をお譲りいただきました!
東京都町田市にて、哲学・思想・美術書をお譲りいただきました!
ありがとうございます(*´▽`*)
さて突然ですが、もしも将来お子さまを美術史の道に進ませたい!という親御さんがいらっしゃいましたら(あまりいないと思いますが ;^ω^)、遊び道具にウォーリーを探せや間違い探しをオススメします!
私は大学で美術史を勉強しましたが、その道を知れば知るほど、作品をすみずみまで注意深く見ることの大切さを実感しました。
例えばこの版画、左と右でどこが違うかわかりますか?
右の版と比べ、左の版は全体に線描の密度が濃く、影の面積が多いでしょうか。また、手前には太い鎖やとげとげしい大釘の突き出た車輪(!)、その上方には歩廊、さらに左手には角材を組み合わせたクレーンのような機械が確認できます。
なんだか、左の方が不気味な凄みがありますね…(; ・`д・´)
この版画は、マルグリット・ユルスナール著、多田 智満子訳『ピラネージの黒い脳髄』白水社、1985年に掲載されています。
これらの版画は、18世紀イタリアの代表的版画家ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi, 1720-1778)によって制作された銅版画連作〈牢獄〉シリーズの第一図で、右は1744年(24歳)で上梓された第一版、左は1761年(40歳)にさらに手を加えて出版された第二版です。
この版画に描かれている不気味な機械はいったい何なのでしょうか?
ピラネージは17年ものちに、なぜ自作に修正を加えようと思ったのでしょうか?
その理由を考察するのは、美術史のまた次のステップになります。
この過程が楽しいのですが、まずは焦らず作品を丁寧に観察し、見たものを言葉に置き換えることが大切です。間違い探しのような遊びは、まさにそのための眼と表現力を養ってくれると思います。
なお、このシリーズは大変有名で、本書でも「ゴヤの《黒い絵》とならんで、十八世紀人が遺してくれた最も奥深い秘密をもつ作品の一つ」(本書41頁)と紹介されています
第一版・第二版ともに上野の国立西洋美術館に所蔵されているので、展示される機会にはぜひご覧になってくださいね!
Byクラニャン
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