神奈川県横浜市@図録(日本画、仏像、骨董、青銅器など) 白州正子など単行本 竹根の彫物 などをお譲りいただきました!
お譲りいただいた書籍の中には名著「東京昭和11年 桑原甲子雄写真集」(1974年 晶文社)がございました!
現在、昭和レトロという言葉が流行しレトロ雑貨などが人気を呼んでおりますが、みなさんの考える「レトロな時代」はいつの時代でしょうか?
1950~60年代を懐かしむ声が大きいかと思いますが、日本人が最も意識高く生活をしていた1930年代も忘れることはできません。
その時代を代表する名写真家・桑原甲子雄さんの代表的な写真集である本書に目を通しますと、そのすべてがライカで撮影されたスナップ写真。
※当時のライカの広告(くまねこ堂所蔵のスクラップBOXより)
当時のライカといえば超超超高級品!!!
それまでアンソニーや組立暗箱など写真館での写真撮影が主流でしたが、従来の写真機とは比べ物にならないシャッタースピードでの撮影を可能にしたライカの出現によって、スナップ写真を撮影することが都会人・趣味人の憧れとなっていきました。
昭和11年といえば、青年将校らの反乱2・26事件や阿部定事件など、歴史に残る不穏な事件が多発した年ではありますが、モダン都市文化の花が開き、カフェーやダンスホール、トーキー映画にレビューが若者たちの心をとらえ、また優れた文学作品もたくさん誕生したのもこの頃のことです。
桑原氏のファインダーは昭和モダニズムと軍国色、貧富の差など、当時の首都・東京のありのままの姿を映し出し、庶民の生活を生き生きと蘇らせてくれます。
1940年代の戦時中から終戦後にかけて、東京に住む人たちは口々に「昭和8年に戻りたい」と言っていたということをどこかで読んだことがありますが、この写真集を見ていると、その理由がわかるような気がいたします!
浅草六区興行街の往来を乳母車を押して通るおじさんの姿、どことなくコミカルでありながら、後ろには洋画の封切館が写っていたりと、えも言われぬモダンな感覚が光ります。
本書は写真ばかりではなく、同じ時代の東京をなつかしむ、芥川比呂志、池波正太郎、小林信彦、谷川俊太郎ら文化人が寄稿し、錦上花を添えています。
これは世田谷で撮影されたという一枚。「古物商」鑑札札があるので、世田谷ボロ市の様子でしょうか?
店頭にならぶのは瀬戸物、水筒、湯たんぽ、リンゴなどなど…人間味あふれる店主の渋い表情もなかなか味わい深いですね。
遠くなった昭和に想いを馳せながら…
こばちゃん
お問合わせ・買取のご依頼
お問合わせ・ご相談は無料です。お気軽にお問合せ下さい。