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本日は宮武外骨・著「震災画報」(ちくま文芸文庫)をご紹介させていただきます!IMG_1400

宮武外骨(1867-1955)といえば明治から昭和にかけてのジャーナリストで、現在ではサブカル的人物として脚光を浴びて久しいかと思います。
外骨は常に反骨精神と共にあり、時には投獄され、発行される書籍が続々と発売禁止になったりしながらも、度重なる国家の圧力に屈することなく庶民の声を発信し続けた人物であります。
そんな外骨はとにかく量産型の文筆家で、自ら「半狂堂」という出版社を立ち上げ、多くの書籍を発行していきますが、そのなかでも特に時代を反映し歴史的にも貴重な情報が織り込まれている名著が、大正12年9月1日に巻き起こった関東大震災の様子をリアルタイムで記録した「震災画報」(1923~1924年発行 全6巻)です!

関東大震災後の東京の様子を文章、イラスト、または写真で記録してあり、コラム形式に執筆されているので、とても読みやすい一冊になっております。

ところで皆様、下の画像「上野大仏」(Wikipediaより)はご存知でしょうか?
「上野大仏」の画像検索結果
上野公園の桜並木を動物園の方向に進んでいくと上野精養軒があるかと思いますが、精養軒と桜並木の中間にある小高い丘の上にひっそりと鎮座するのが「上野大仏」です。大きな大仏さんの顔だけが祀られてあり、インパクト強&インスタ映えする外観でありますが、もともとは普通の大仏さんだったのです!
「上野大仏」の画像検索結果 IMG_1401
しかし関東大震災のために無残にも倒壊してしまい、再建されないまま大東亜戦争に突入。その後、顔だけを残して、戦時中の「金属供出」で提供してしまい、昭和47年に顔だけを改めて祀ったという、日本の近代の歴史をそのまま反映したような経緯を背負った大仏さんです。

そしてたまーに下町散歩を致しますが、神田小川町や巣鴨などで関東大震災の石碑を発見したことがあるので、いかに関東大震災が東京の街に与えた影響が大きかったかを感じます。

この書籍を読んでみますと、他には書かれていないような、それでいて重要な庶民の姿が記されており、特に私が気になったのは焼け溶けた硬貨を銀行員がトンカチで叩くイラストが入っている「焼け貨幣の引換」、流言ばかりを集めたコラムなどで「7時間後に大きな揺り返しが起きる」「浅草寺の井戸に毒をなげいれた」などなど、被災者だったら不安のどん底に突き落とされるようなデマが流れていたんだなァと考えさせられました。
特に東日本大震災を経験した今、関東大震災の記録を読んでいると、色々とリアルに胸に来るものがありますね。
気軽に楽しく、大正時代の知識と情報を得ることができるのでオススメの一冊です!

byこばちゃん

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