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本日は、昭和の写真史に残る名作「土門拳写真集 筑豊のこどもたち」(パトリア書店 1960年)をご紹介したいと思います!
♪遠賀川 土手の向こうに ボタ山の 三つ並んで見えとらす
この本を手に取った時、思わず山崎ハコさんが歌う「織江の唄」の一節を思い出しました。
(ハコさんの唄と写真集は直接の関係はありませんが…)
写真集の舞台は九州・福岡の炭鉱の町に住む人々で、昭和の原風景というにはあまりにも貧しく、悲しい物語が詰まったもの。
私は今まで「ボタ山」の意味がよくわかりませんでしたが、本書の註釈を見て「ボタ」とは「廃石」のことを指すということを知りました。
石炭が「黒ダイヤ」と呼ばれ、炭鉱の町が空前の好景気に沸いたのは明治から終戦直後くらいまでのことで(場所によってことなりますが)、高度経済成長期と反比例するように多くの炭鉱が閉山し、不景気に見舞われていながらも多くの炭鉱労働者はすぐに転職もできず、悪循環のなかで貧しい生活を送らざるを得なかったと言われております。
本書を語る上で最も印象的なのは表紙を飾る少女「るみえちゃん」。
解説によれば彼女は小学四年生、病気で炭鉱の仕事ができなくなった父と妹との三人暮らし(母は出稼ぎに出ている)。学校にも行けず電気も止められ、壊れた扉に抜けたままの床…そんな木造の家での暮らしぶりを見ると胸が痛くなってきます。
土門拳と言えば仏像写真が有名ではありますが、さすがは名写真家だけあって、このような暮らしの人々の中に入り込み、このルポ的写真集の大傑作を生むことができたのでしょう。
また本書には続編「るみえちゃんはお父さんが死んだ」も発売されており、最後は施設に預けられて生活を送る様子が撮影されています。
昭和の民衆生活資料のひとつとして、多くの方にご覧いただきたい写真集でございます。
byこばちゃん
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