首里城に関する書籍が入荷しました!知られざる首里城再建の歴史!
東京都町田市鶴川のお宅に買取に行かせていただきました。ありがとうございます!
首里城焼失のニュースは日本全国だけでなく国際的にも衝撃をもって受け止められました。そんな中、首里城に関する書籍が入荷しましたので紹介します。まずは、首里城再建をめぐる最近の出来事について簡単にふれたいと思います。
首里城正殿などが全焼した10月31日未明の火災から半月ほど経ちました。アメリカでは沖縄県出身者らによって、火災で焼失した首里城の再建を支援するために幅広く寄付が呼びかけられています。これに対し、沖縄との交流があるアメリカの労働組合のメンバーが、早速100ドル紙幣を寄付したことが報じられました。
※ニューヨークの沖縄県出身者ら 首里城再建へ寄付呼びかけ(NHK NEWS WEB、2019年11月13日)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191113/k10012175431000.html
台湾には、1992年の首里城復元工事に協力した彫刻家の方々がおられます。台湾宜蘭県で彫刻業を営む許錦発さんは今月5日、首里城の復元作業時に手掛けた彫刻の写真を手に、火災現場を訪れています。今回の出来事に落胆しつつも許さんは、「美しい首里城をもう一度見たい。私にできることがあれば協力したい」と語ったとのことです。
※台湾の彫刻家「美しい首里城 もう一度」 1992年復元で彫刻手掛ける 「宝石を不意に失ってしまったよう」(沖縄タイムス、2019年11月10日)https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/495953
なお、首里城の再建に向けた寄付については、那覇市が募っているインターネットを通じたクラウドファンディングを通じて13日時点で、5億円に達したとのことです。
※首里城再建へ 支援金5億円超える(NHK NEWS WEB、2019年11月13日)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191113/k10012176051000.html
首里城の焼失に驚かれた方も多いと思われますが、私たちは首里城の幾多の再建の歴史や、それをめぐる人々の物語をどれほど知っているでしょうか。このことは、今回の出来事を機にあらためて勉強し直さなくてはならないと思われます。アメリカでも首里城再建のための寄付が集まり、台湾からも再建へ向けたメッセージが届く中では、なおさらその必要があるでしょう。
海外から関心が集まっているということに加えて、もうひとつ私たち本土の日本人が忘れてはならないことがあります。それは、首里城をめぐる歴史に、日本と沖縄との関係の縮図が含まれている点です。琉球王国の居城であった首里城が、もともと「日本」のものであったわけではありません。琉球王国を沖縄県として日本に併合した明治初期の経緯、そして昭和の戦争では日本で唯一地上戦が行われたのが沖縄県であったことは忘れてはなりません。首里城の運命も、その激動の中にあったといえましょう。王国の城でなくなった首里城は、明治期を通して急速に荒廃していきました。そして、太平洋戦争中の沖縄戦で陸軍の司令部が置かれた首里城は、日米両軍の激しい戦闘に巻き込まれ、建物は焼失し、多くの文化財が破壊されました。この被害はきわめて深刻で、戦後の首里城再建は、1992年まで続くことになったのです。
首里城をめぐる歴史について上記のように述べたのには理由があります。それは今回紹介したい本が、上記の概略的な話から抜け落ちてしまっている、大正末期から昭和初期(1920年代半ばから1930年代初め)にかけての首里城再建に向けた人間ドラマを扱った著作だからです。その著作とは、ノンフィクション作家の与那原恵氏によって書かれた、『首里城への坂道――鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像』(筑摩書房、2013年)です。
本書の冒頭で与那原氏は次のように述べています。本書の導入として重要な部分と考え、下記に引用します。
「首里城は大正末期に取り壊されることが決定していた。そのとき城は琉球王国崩壊から40数年をへたまま、くずれかかっていた。ところが、香川生まれの鎌倉芳太郎という琉球芸術を研究する20代半ばの青年が、取り壊し阻止のために動くのだ。そのとき彼に、なにより城にとって、さまざまな幸運が一瞬重なり、難をのがれることになる。直後に首里城の保存が決まり、『国宝』の指定を受け、昭和初期には大々的な修理もなされ、城はよみがえった。
それなのに、そのあとの戦争が何もかも、ほんとうに何もかもを破壊してしまったのだ。」
こうした知られざる人間ドラマにふれるため、あるいは与那原氏が冒頭で予告した幸運が重なった一瞬を再訪するためにも、本書を手にとっていただければと思います。その上で、沖縄戦の悲劇、ひいては明治初年の琉球処分以降の近代日本について、あらためて問い直すきっかけになればとも思います。近日中に出品する本書のご購入もご検討くだされば幸いです。
小野坂
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