女性教育史、ジェンダーやフェミニズムの研究書が多数入荷しています!

 本日は東京都世田谷区桜新町へ出張買取に行かせていただきました。くまねこ堂では、出張査定・買取を歓迎しております。採算が取れると判断しましたら、積極的にうかがわせていただきます!

◆くまねこ堂では現在、新型肺炎(コロナウイルス)対策といたしまして、店主、スタッフ共にマスクを着用しての出張査定をさせて頂いております。ご理解の程、どうぞよろしくお願いいたします。

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 新型コロナウイルス感染予防のために、ご家庭でお過ごしする時間が多くなっている方もおられるかと思います。さらに、これまで家庭の外で行われていたことができなくなってくる、という事態も起きています。たとえば、栃木県栃木市では14日に以下の要請が出されました。新型コロナウイルス感染予防対策として、市内の保育所などに通っている児童の保護者宛てに、家庭での保育を要請する文書を配布した、と毎日新聞が報じています。期間は15日~5月6日とのことです。

新型コロナ 家庭での保育、保護者に要請 栃木市「協力を」 /栃木(毎日新聞、2020年4月15日)
https://mainichi.jp/articles/20200415/ddl/k09/040/142000c

 保育のように、これまで保育所など家庭外のサービスが担っていたことを家庭で負担することになるわけですが、私たちの社会はそうした負担を分かち合うことが十分にできるのでしょうか。また、これまで以上に各家庭それぞれの形で、家族の問題に向き合うことが求められていくでしょうが、その準備はできているでしょうか。

 最近、くまねこ堂では、女性教育史、あるいは性別によって割り当てられた社会的な役割を問題にしたジェンダー論やフェミニズムの研究書を多く買い取らせていただきました。今回はその中から、人物を扱った本と、女性を取り巻く状況を描き出した女性誌研究の本を紹介いたします。

吉川弘文館人物叢書

 まず人物を扱った本として、吉川弘文館の人物叢書の2冊がございます。中嶌邦『成瀬仁蔵』(吉川弘文館、2002年)、山崎孝子『津田梅子』(吉川弘文館、1962年)が、出品に向けて整理中です。

 近代日本の女性教育の発展に尽力した成瀬仁蔵については、『成瀬仁蔵著作集』が入荷した旨お伝えした際に、若干ふれさせていただきました。下記過去ブログをご覧ください。

※日本女子大学創設者の成瀬仁蔵の著作集が入荷しました!~社会の中の教育(くまねこ堂古書ブログ、2020年4月6日)
https://www.kumanekodou.com/24835/

 『津田梅子』は、津田塾大学教授として校史編纂に携わった山崎孝子氏によるもので、1962年の刊行でありながら、津田梅子研究においては避けては通れない一冊といえるでしょう。著者は津田梅子の評伝の執筆を通して、聖書の一節である「己が命を救はんと思ふ者は、これを失ひ、我がために己が命をうしなふ者は之を得べし」(マタイ伝16章25節)をしばしば想起したといいます。

 女性誌研究の本として紹介するのは、以下の2冊です。新型コロナウイルスの感染拡大で日常生活が脅かされ、「非常時」「緊急事態」あるいは「戦時」などという言葉が氾濫しかけている中で、昭和期の戦争、そして敗戦・占領下で女性雑誌は何をどう伝えていたのか、振り返る意義は大きいのではないかと思います。

戦争と女性雑誌

 近代女性文化史研究会『戦争と女性雑誌―1931年~1945年』(ドメス出版、2001年)は、「戦争は否応なく女性の働きを必要とし総力戦に組み込んだ」ことについて、マスメディアがその傾向を促進したと指摘しています。見逃せないのは、戦争前の女性差別が、総力戦という異常事態の中で「女性の積極的な協力を引き出す必要がある」という論調に取って代わられたことです。本書は、その過程における「婦人雑誌」の役割に注目しています。
 
 この本の続編にあたるのが、近代女性文化史研究会『占領下 女性と雑誌』(ドメス出版、2010年)です。日本は第二次世界大戦の敗戦国として連合国、主にアメリカの占領統治下に置かれました。敗戦国として占領統治されるというのは、戦争をする前を常態とみなし、そこへ復帰するということが許されない、ということを意味します。日本占領を担当したマッカーサー率いる連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)は、日本の国家としてのあり方を根本から変革するために、様々な改革に着手しました。その中に女性の解放も含まれていました。

 実は、第二次世界大戦中やその直後は、戦争のトラウマ、あるいは家族がバラバラになることの心理的な影響について解明が進んだ時期でもあります。この「学問の進歩」ゆえに、「家族の再建」という課題が、将来の国家像と結びついて政治性を帯びてくることになりました。この点は、東ヨーロッパの戦後復興についての近年の研究で解明されてきたことですが、『占領下 女性と雑誌』も、そうした研究と平仄を合わせるかのように、占領改革における「女性解放という成功例」を単に称揚するだけの本ではありません。本書は、「女性の解放」をめぐる日米両国の政治的な思惑の検討に踏み込んでいます。

 「家庭」という自らの生活を構成する重要な部分について、これまで以上に向き合う必要が出てきている中、今回紹介した書籍は、そのためのヒントを多く含んでいるのではないかと想像されます。このような興味深い品々をお譲りいただきましたこと、ご依頼者様に感謝申し上げます。

 くまねこ堂では古本のご整理はもちろん、古道具・骨董品などの買取も行っております。興味深い品々をお譲りいただきましたら、当ブログで随時紹介してまいります。

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小野坂


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