『赤塚不二夫の全部切りぬく本―紙ずもうからタロットカードまで107種』が入荷しました~「真のいたずらとは、一期一会の愛の思想」
先日は買取りのご依頼で千葉県松戸市六高台へうかがいました。大友克洋、AKIRA、ハヤカワSFポケットミステリ、手塚治虫、火の鳥等、売れ筋のお品物をお譲りいただきました!
今回はその中より、「本は読むもの」という思い込みに真っ向から挑戦している、面白い本を紹介します。それはもちろん、顔が白いわけではありません。
その本は冒頭から、「ふつう、本は読むものときまっている。本を嗅いだり、かじったり、なめたりして楽しむ人は、まずいないだろう」といいます。さらに「読書とはパチンコとほとんど変わらない運動でしかないのだ」と続きます。
それでは、この本はふつうでなくて、何だというのでしょうか。その答えは、以下です。
「最初から本を全部切り抜いてしまうことを目標にした本書ほど、これまでの『本』や『読書』というイメージを完全に変えてしまう革命的な本は他にないだろう。この本は、従来の読書特有の頭デッカチなあらゆる運動不足や知性の栄養不良を完全に解消してくれるはずだ。」
だいぶ引っ張りましたが、赤塚不二夫『赤塚不二夫の全部切りぬく本―紙ずもうからタロットカードまで107種』21世紀ブックス(主婦と生活社、1975年)が入荷しました。本書には、さまざまないたずらのネタが仕込まれており、今すぐにでも試したくなってきます。
「わざと落すラブレター」の狙いとは?!
職場や家庭内でも、「社会的距離」を保とう!
ところで、そうした小ネタの断片は、断片にすぎないのでしょうか。どうもそうではないようです。赤塚不二夫は次のように宣言しています。
「いまから本文のどこからでも、気に入ったところから切りぬいていけば、あふれる人間愛、たぐいまれなるユーモアが、たちまちあなたのまわりに爆発しはじめるはずである。真のいたずらとは、一期一会の愛の思想でなくてはならないとボクは常々思っている。速度のない、疾走感のないいたずらは、やる方もやられる方もやたらに気を滅入らせるだけである。」
愛のある真のいたずらには、疾走感が不可欠だといいます。たしかに、時と場所を選び、長期にわたって綿密に計画された、およそ疾走感とは対極にある陰湿な「いたずら」に出くわしたならば、気が滅入るに違いありません。そんな相手には上掲画像のように、「面会謝絶」です!
赤塚不二夫はこうもいいます。
「また、真のいたずらとは他人に向けてのサディスティックな満足感を得るためだけではなく、ときには自らをも客観化し、自分にむけてそのエネルギーをぶつけてみるほどにマゾヒスティックにならなければいけないのだ。」
これはどういう意味なのでしょうか。たとえば、他人に投げつけた罵詈雑言が、実は自分自身の内面奥深くの傷へ向かうものであった、という経験はないでしょうか。こういう問題をヒントに考えてみることができるでしょう。
相手を攻撃する方法として、もっとも効果的なものを選ぼうとすると、何をターゲットにすることになるのでしょうか。そこで照準を合わせてしまうのは、どのように傷つくのかよく知っている、自分の傷だったりするものです。
こうした赤塚不二夫の「いたずら」論を念頭に、数々の作品を読み返したくなってきますね。
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