サルバドル・カンドウ編『限定復刻盤 羅和字典』(南雲堂フェニックス、1995年)が入荷しました~カトリック東京大司教区のミサ再開の報道に接して
先日、新宿区市谷左内町のお宅へ買取にうかがいました!哲学、思想、社会学、歴史学、美術、デザインに関する書籍をお譲りいただきました、ありがとうございます!
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新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、これまでの暮らしのあり方が問い直されています。意外にもそうした問題を考えるヒントが、宗教から得られることもあります。その理由は、私たちが漠然と信じている前提が、実は逆であった、ということに気づかされるからです。
たとえば、経済の世界はそれ自体が独自のルールで動いていて、人為的な介入をしないほうがうまく回る、という考え方があります。けれども、人類がそういう「経済的」な生き方をするようになったのは、だいたいここ200年間のことです。それ以前は、暮らしの中に経済的な一部分があった、という逆の関係でした。そして、この逆転現象と軌を一にするように、キリスト教では大きな変化が起きていました。経済関係や社会問題は教会のあずかり知らぬ領域だ、とみなされるようになってしまったのです。この変化は、宗教が社会の要になっていた中世から、宗教が社会全体の一部となり、経済的な思惑が人々の行為を決定する近代という時代に移った、ということを意味しています。
以上のようなことが、第一次世界大戦を経た1920年代ごろのキリスト教についての歴史研究で盛んに論じられていました。上記のような宗教と経済の関係の逆転現象を考えることは、この時期の知識人たちにとって、彼ら自身の生きる指針や、社会全体の構造について考えることであったと思われます。
※R・H・トーニー著、出口勇蔵・越智武臣訳『宗教と資本主義の興隆―歴史的研究―』下巻(岩波書店、1959年、原書1926年)第5章
こうした先人たちの思索は、現代の私たちの暮らしの前提を考え直す手がかりになるかもしれません。冒頭で述べたことの繰り返しになりますが、自明の前提だと思っていたことが、必ずしもそうでなかったことに気づくことが、これからの暮らしを考えるための出発点になるはずです。
ところで、カトリック東京大司教区(東京都と千葉県を管轄)は10日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて原則中止としていた公開ミサなどの教会活動を、21日から段階的に再開すると発表しました。同教区では2月27日以降、公開のミサが原則中止となっており、約4カ月ぶりの再開となります。
※カトリック東京大司教区、21日から段階的に公開ミサ再開(Christian Today, 2020年6月10日)
https://www.christiantoday.co.jp/articles/28139/20200610/tokyo-catholic-covid-19.htm
そこで、これにちなんで、最近入荷しました書籍を紹介したいと思います。日本におけるキリスト教の神学やヨーロッパ哲学の歴史に名を刻んだ、知る人ぞ知る一冊です。
サルバドル・カンドウ編『限定復刻盤 羅和字典』(南雲堂フェニックス、1995年、初出1934年)です。復刻に際して、編者のカンドウ司祭のことや当時の時代背景などの簡明な解説が付されています。
今回は宗教を通じて、日々の暮らしを考えるにあたっての小さなきっかけを紹介したに過ぎませんが、もしこのテーマに関するお品物をお譲りいただきましたら、随時紹介していきます。
くまねこ堂は、こうした興味深い書籍を歓迎しております。ご自宅を整理される際はぜひご一報ください! お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております!
小野坂
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