「NYLON100% 80年代渋谷発ポップ・カルチャーの源流」入荷しました。
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本日は、先日入荷いたしました本のご紹介をさせていただきたいと思います。
「NYLON100% 80年代渋谷発ポップ・カルチャーの源流」
NYLON100%は1978~1986年に渋谷にあったニューウェイヴ・サロンで、パンクやニューウェイヴ、テクノポップを後追いで知った世代にとってはまさに伝説的なお店です。まえがきにもあるとおり、戸川純さんがバイトしていたらしいとかケラリーノ・サンドロヴィッチさんの劇団名はここからとられているだとか、いろいろなお話を見聞きしますが、実際はどんな「場」だったのでしょう。当事者たちの証言を元に全貌をまとめたのがこちら一冊です。2008年発行なので、もう12年以上も前になるのですね。
当事者たちがすごいですね。8 1/2、東京ブラボー、ゲルニカ、アーントサリー、ハルメンズ、ヒカシュー、P-MODEL、東京タワーズ、有頂天、空手バカボンといったバンドの方達などの証言が生々しく掲載されています。冒頭、初代店長だった中村直也さんが1976年に赤富士でセックス・ピストルズを買っていたという件から「おお」と声が出てしまいます。「ANARCHY IN THE U.K.」が1976年11月に本国でリリースされているようですので、ほぼリアルタイムで聴いていたんですよね。すごい。そういった感度の鋭さみたいなものが人を惹きつけて、NYLON100%のカラーができていったというのもあったのかなと思わされます。あと、いろいろな方達からも話が出ていますが、パンクに出会ってその前の時代感を捨てられるか、というようなロック踏み絵みたいなものがあったようで、パンクの衝撃度の大きさと時代の変化のスピードを感じさせられますね(映画「24アワー・パーティー・ピープル」の中でも、後にジョイ・ディジョンを結成する彼らがピストルズを観て家に戻った後、まさに同じ状態になっていました)。その他にも、それぞれの遍歴や人との関わり(巻上公一さんのプラスチックスやP-MODELとの話など最高です)、加藤賢崇さんや岸野雄一さんなどのお客さんとしての目線も非常にリアルで面白く、NYLON100%というお店を超えて日本のニューウェイヴ史としても見逃せないエピソードが多数です。そういえば年末あたりに高木完さんのラジオに戸川純さんがゲストで出ていて、ちょうどNYLON100%の頃のお話をされており、RCサクセションやリザード、遠藤賢司、頭脳警察などが出ていた日比谷野音のイベントではじめて8 1/2を観てファンになって、そこからNYLON100%にも通うようになったというようなエピソードにも触れておりましたが、本書でもカメラマンでインディーレーベルのテレグラフを主宰されていた地引雄一さんが戸川純さんから聞いた話として同じエピソードを語られています。あと、高木完さんがサニー久保田とクリスタル・バカンスを名付けたという話もされていて、久保田慎吾さんと高木完さんが主演する手塚眞監督の映画「星くず兄弟の伝説」と本書が繋がるようないいエピソードでしたね。
こちらが当時の店内の写真のようです。まさにアーリー80’s!プラスチックで洒落てます。いいですね。
こちらは各ページの角に載せられたNYLON100%のレコメンド・ディスクガイド。ポップ・グループやウルトラヴォックス、ディスヒートにフライング・リザーズ、レジロスも。イーノ、ジャーマンロック、レコメン系、テリー・ライリーなどなど。このBGMは最高の店としかいいようがありませんね。また、巻末にある「日本の初期パンク/ニューウェイヴ年表1976-1981」もすごい資料ですね。絶版のようですが、日本のニューウェイヴやテクノポップが好きな方は是非読んでみてもらいたい一冊です。
56さん
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