ソ連の冷戦戦略や核開発に関する書籍が入荷しました~~核兵器禁止条約発効を目前にして
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1月22日発効予定の、国連の核兵器禁止条約が迫る中、日本政府に対して同条約の署名・批准を求める活動が日本各地で行われています。オンライン署名で海外からも賛同者を得た団体や、地方自治体への陳情という形で地域の民主主義と国際安全保障とを結びつけることを試みる団体など、注目すべき動きも出てきています。
2017年7月の国連総会で採択された核兵器禁止条約は、同年から2018年6月12日の米朝首脳会談にいたるまでの、北朝鮮の核開発で緊張が高まった一時期を挟んで、今月22日に発効される運びとなります。
そんな中、くまねこ堂に以下の本が入荷しました。
デーヴィド・ホロウェイ『スターリンと原爆』川上洸・松本幸重訳(大月書店、1997年)上巻、ヴォイチェフ・マストニー『冷戦とは何だったのか――戦後政治史とスターリン』(柏書房、2000年)です。
核兵器をめぐる歴史ということですと、私たち日本人は、1945年8月の広島・長崎への米軍による原爆投下という被害の問題を想起したり、そこへいたるまでの日米関係・日米戦争の過程に注目しがちです。けれども、第二次世界大戦後にアメリカと並ぶ大国となったソ連の視点で核兵器をめぐる歴史をみていくならば、私たちが普段意識してこなかった問題に気づくきっかけになるかもしれません。兵器をめぐる問題である以上、国家間の対立や緊張緩和という国家間の関係性に留意する必要があるのはもちろんです。そのために、日本からみたら「相手」にあたるソ連の視点が重要になってくることはいうまでもありません。
核兵器の破壊力の凄まじさから、核兵器それ自体を悪だと短絡的に考えてしまいがちです。しかし、それぞれの国家の外交政策・軍事政策という関係性の中に核兵器をめぐる問題があるのだと考えるならどうでしょうか。
1945年8月の広島・長崎への原爆投下以来、国家間の戦争で核兵器が使用されたことがないのは、歴史的事実です。使用したら共倒れになる、という恐怖から「核抑止」による平和が成立したという見解もあります。一方で、そのような脅し合い、察し合いの国際政治が成り立ちえたのは、核保有国の核実験という破壊力のデモンストレーションを前提としていたと考えることもできます。このような国際政治史の事実をもとに考えていくと、核実験による犠牲と核戦争の惨禍は、いずれか一方をとるような取引の問題にして本当によいのか、という問いにたどり着くように思われます。
こうした観点は、被爆国であり、その後はアメリカの「核の傘」に守られて平和を享受した国でもある日本について考えるうえで重要になってくるはずです。安易に核保有賛成、あるいは核廃絶というような立場の一方的な押し付けに陥らないよう、「被爆国にして核兵器に守られた国」が抱えている問題を直視することが、対話のきっかけをつくり出すかもしれません。そのような歴史の事実、それぞれの側の意見をふまえつつ、自分なりに核兵器をめぐる国際安全保障問題を考えていく必要性は、今まさに高まっています。
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小野坂