中国の後漢末期の医者、張仲景の著作を解説した本が入荷しました~三国志の動乱と餃子伝説
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ところで、総務省統計局の家計調査における、一世帯あたりの餃子購入額の都道府県ランキングの推移を、毎年ウォッチしている人々がいるそうです。とりわけ、「『浜松市VS宇都宮市』の首位争いは毎年恒例となっている」と「週刊女性PRIME」が報じています。コロナ禍で外出時にマスクを着用する人々が増えたことや、テイクアウト食品の需要の高まりなどで、餃子は一層注目を集めるかもしれません。というのも、餃子はテイクアウトに適した料理だからです。それに、食後のニンニク臭に抵抗があったとしてもマスクをしているから大丈夫だ、という話で売っていこうと考えるお店も出てくるのではないでしょうか。
※なぜ、餃子だけなのか?「日本一」を競う購入額バトルが過熱するフシギ(週刊女性PRIME、2021年3月17日、Yahooニュース転載)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6bf3b899013361a3be91fc213405a91274726b55
そこで、餃子にまつわる本を紹介したいと思います。その本は、中国の後漢末期の医者、張機(字:仲景)の著作の解説本です。張機は張仲景の名で知られ、150年に生まれ、219年に没しました。活躍した時期は献帝の治世の建安年間(196年-220年)にあたり、三国志真っ只中の時代でした。そんな戦乱の中で張仲景は、漢方医学の古典『傷寒雑病論』を著しました。餃子の話はどこへ行ったのか、と思われたかもしれません。もう少し説明させてください。
この時代を代表する医者である張仲景には、冬至の寒さの中で飢えに苦しむ人々を救ったという逸話があります。そこで張仲景が考案した料理が、唐辛子や生姜ととも煮込んだ水餃子であったといわれています。
画像の本は、池田政一『初めて読む人のための傷寒論ハンドブック』(医道の日本社、1982年)、同『初めて読む人のための金匱要略ハンドブック』(医道の日本社、1987年)です。ハンドブックが2冊あるのは、張仲景の著作が、後世に「傷寒」について書いたものと、「雑病」について書いたものとで別々に伝わったことに起因しています。
『傷寒論ハンドブック』の54頁には、冬の間に抱えていた病気が、春夏にまで響いてくることについてふれられています。そういうわけで、寒さを飢えに苦しむ人々に張仲景が出くわしたなら、やはり伝説の通りの行動を起こしたのではないか、という想像が膨らみました。
餃子を食べる際には、三国志のあの動乱の中で、病気の原因を探究し続けた張仲景を想いつつ、コロナ禍での餃子需要について考えることになりそうです。
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小野坂