ペシャワール会編『ペシャワール会報 1983~2004合本』(石風社、2004年)が入荷しました~中村哲さんが遺した農業用水確保のためのガイドラインについての報道を受けて
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ところで、11月に入ってから、季節外れの暖かい日もあれば、やはり冬らしく寒い日もあるというように、天候に振り回されている感じがありますね。体調不良には気をつけたいところです。
とはいえ、天候の問題は個々人の体調管理という問題を超えて、社会全体の問題となる深刻な事例もあります。最近でも、中東のアフガニスタンにおける干ばつが報じられました。時事通信の11月17日付の記事によりますと、「この地域で恐れられているのは、電撃的な攻勢で政権を掌握したイスラム主義組織タリバンよりも気候変動だ」とのことです。アフガニスタンの政情もさることながら、現地の人々は干ばつとそれに伴う食料難にも苦しめられているに違いありません。
※タリバンの攻撃より危機的 干ばつ広がるアフガニスタン(時事通信、2021年11月17日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=20211117042286a&g=afp
くまねこ堂ブログでは、最近入荷しましたアフガニスタン関係の本を複数回紹介してきました。その内の一つ、アフガニスタンで医療活動、井戸掘りなどの水源確保活動に従事してこられた中村哲さんの著書を紹介した投稿は、下記URLになります。ご覧いただけますと幸いです。
※中村哲『医者、用水路を拓く――アフガンの大地から世界の虚構に挑む』(石風社、2007年)が入荷しました(くまねこ堂古書ブログ、2021年9月19日)
https://www.kumanekodou.com/27692/
中村哲さんにつきましては、最近読売新聞で次のような試みが取り上げられました。
「民間活動団体(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表として、アフガニスタンで 灌漑事業に取り組んだ中村哲医師を中心に作成してきた事業のガイドライン(手引)が年内にも完成する。」
※中村医師が進めたアフガンの灌漑、ガイドラインで後世に…江戸時代の堰を参考(読売新聞、2021年11月17日)
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20211117-OYTNT50019/
そこで、今回紹介したい書籍がございます。上記のペシャワール会について知る上で、真っ先に参照すべき本になります。
ペシャワール会編『ペシャワール会報 1983~2004合本』(石風社、2004年)です。中村さんをはじめとして、同会の方々による貴重な報告が収められています。
たとえば、『ペシャワール会報』第68号(2001年7月4日)の中村さんの記事「虚飾はびこる世界に〈現実の格闘〉を以て抗す」には、2000年春からのアフガニスタンにおける干ばつについて、次のように書かれています。
「アフガニスタンだけで飢餓に直面する者四〇〇万人、餓死線上にある者一〇〇万人と伝えられた(二〇〇〇年六月・WHO発表)。しかし、このことは殆ど世界的な話題になることはなかった。辛うじて伝えられたのは、『旱魃に揺れるタリバン政権』という政治的動向だけで、農民と下層民は更に困窮の縁に立たされた。過去最大の危機にあったと言ってよい。」(合本1052頁)
この「過去最大の危機」の直後に、アメリカでの同時多発テロである9・11、そしてアフガニスタン戦争が勃発しました。私たちは、9・11以降の軍事的、政治的諸事件に目を奪われがちで、同時に進行し、現在も深刻な問題として浮上しているアフガニスタンの干ばつと食料難について、どれほど関心を払ってきたでしょうか。このことについて自分なりに考えるための入り口として、『ペシャワール会報 1983~2004合本』をおすすめします。
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11月28日まで、JR御茶ノ水駅駅近くのソラシティで、古本市が開催されています。くまねこ堂も出店しておりますので、ぜひお立ち寄りください。
※現在開催中!!御茶ノ水ソラシティ古本市(くまねこ堂古書ブログ、2021年11月24日)
https://www.kumanekodou.com/28078/
小野坂