美しき日本画の世界「國際美術協会 第一回内国展覧会會圖録」のご紹介
本日もくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はこちらの冊子を皆様にご紹介したく思います。
1929年発行「國際美術協会 第一回内国展覧会會圖録」です。
國際美術協会は当時子爵であった渋沢栄一が顧問、会長を侯爵小松輝久が務めた団体です。
小松輝久は旧皇族の帝国海軍軍人であり、BC級戦犯として服役後は平安神宮宮司を務めました。
こちらの図録では出展された作品を第一部日本画、第二部西洋画、第三部彫刻、第四部工芸品として収めています。
今回は「第一部日本画」を見ていこうと思います。
竹内栖鳳の「鰹」です。
動物に関して卓越した描写が彼の魅力ですが、それが遺憾なく発揮された作品です。
今も昔も「魚」は日本画家が好むモチーフの1つであるように思います。
この図録内でもいくつも見つけることができました。
私も魚の絵を何枚か描いたことがあるのですが、モチーフとしての魚は一枚一枚の鱗で背から腹にかけての濃淡、頭から尾までの魚体のリズムを描き出す難しさに魅力があると思います。
このようなぼんやりとした輪郭の無い濃淡で描写された空間が日本画の魅力の1つであり、シンプルに見えて極限まで計算され尽くされた引き算的な表現は日本画が生み出した1つの極致でしょう。
カワイイネコチャン!!!
ネコの日本画といえば先ほどご紹介した竹内栖鳳の「斑猫」(1924年)が有名ですが、この頃は日本画のモチーフに犬や猫などのペットが描かれることは殆どありませんでした。
こちらの作品が1929年頃と思われるので、当時最新の表現だったと言えます。
図録から数点選んでご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
日本画を学んだ者としては様式を受け継ぎ新たな表現を取り入れ築き上げてきた先人たちに頭が上がらない思いです。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。
トリ