ジャン・フェクサス『うんち大全』高遠弘美訳(作品社、1998年)が入荷しました!
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この世界は見方によっては、あらゆるものが研究テーマになります。そういう意味では、この世は捨てたものではないのです。語尾に「ロジー」とついていれば、たとえばスカトロジーなど、立派な学問分野に思えてきますし、実際そうなのです。ちなみにスカトロジーの日本語訳は、糞便学になります。
最近でも、下記の書籍が入荷しました。
ジャン・フェクサス『うんち大全』高遠弘美訳(作品社、1998年)です。同署は、帯によれば「図説スカトロジー百科全書 超珍品図版コレクション本邦初! 200点公開」とのことで、この分野の専門家の収集にかける情熱をうかがせます。
読者は、著者の情熱に応えて、自分なりに読み進めていく義務があります。そうした読書の一つとして、自分の関心のあるテーマと、スカトロジーの成果を結びつける、といったことがあり得るでしょう。たとえば、反戦運動と便所、といった視点です。
実際、著者のフェクサスは「ナチス占領下の糞尿的レジスタンス」(※)といった項目で、「トイレは目立たない隠れ処(が)であり、インスピレーションを得たり、自由を満喫したりする場合である。と同時に、落書きにはもってこいの場所であった」と述べています。
(※)第二次世界大戦のナチス・ドイツによるフランスの占領(1940-44年)に抵抗した運動、すなわちフランスにおけるレジスタンスを指します。ちなみにナチス・ドイツによる占領に協力した勢力は、コラボラシオンと呼ばれます。
反戦的な便所の落書き、という点では日本史において画期的な書籍が近年刊行されました。それは、高井ホアン『戦前反戦発言大全: 落書き・ビラ・投書・怪文書で見る反軍・反帝・反資本主義的言説 (戦前ホンネ発言大全) 』(パブリブ、2019年)です。同書は、特高警察による取り締まりの記録を中心に、戦時下日本の便所の落書きから浮かび上がる本音で語られた反戦感情を取り上げたものになります。
スカトロジーは、戦争体験の風化が懸念される現在だからこそ、戦争の歴史の一部として真剣に向き合わねばならないのです!!
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小野坂