漫画で太宰を―山本おさむ『津軽』のご紹介―
早いものでもう9月。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
読書の秋です。しかし、まだ何だか暑さは残っているようで、じっくり腰を据えて本を読む気になれない…💦
そんな時にも、漫画なら手に取りやすいものです。今日は、太宰治の小説を漫画化した作品をご紹介します📖
山本おさむ『BIG COMCS SPECIAL 津軽』(小学館・2011年)です。漫画家山本おさむが「富嶽百景」「津軽」といった太宰の短編を漫画化した作品になります。
太宰は「青春の麻疹」と呼ばれることもあります。幼少期に皆が麻疹を経験するように、誰もが若い時、太宰に夢中になるという意味です。例えば「人間失格」などの自意識の葛藤に共感し、太宰だけは自分を理解してくれている、また太宰のことは自分だけがわかっている、という気持ちになる人も多いといいます。私も気持ちが沈んでいる時、確かに太宰を読みたくなります。
でも太宰は人間の暗部に潜っていくような作品だけでなく、ユーモア溢れるものも書いています。「富嶽百景」などを読めば、その明るさに驚くかもしれません。彼は芸人気質であったのだろうと思います。周りの人に気を遣って、自分が道化になって楽しませようとするのです。いじらしいです。
もちろん、津島修治・太宰治・太宰の作中の「わたし」は同一ではありません。彼は読者を意識しつつ、小説家太宰治を作り上げています。私たちが持つ太宰のイメージは、多分に彼のポーズに影響されていて、本人そのものではないでしょう。
でもそのように、他者に見せる自分を作り上げるのは、私たちも常々やっていることです。意識的にも無意識的にもやってしまうその行為の悲しさ。それを感じる時、私たちは太宰に共感したり、太宰のことを思い出したりするのかもしれません。
この『BIG COMCS SPECIAL 津軽』は、漫画家山本おさむがどのように太宰の小説を解釈し、漫画にしたのかという観点から読むのも面白いはずです。読んだことのある小説でも、漫画となると新しい発見がありそうです。「青春の麻疹」太宰。太宰をもう卒業した人も、この漫画で久しぶりに読んではいかがでしょうか。
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コトー
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