松浦有成『水石入門マニュアル 一石一魂』(近代出版、2004年)が入荷しました

 

 こちらの【わくわく作業シリーズ】は主に盆栽に力を入れているムック本ですが、今回は最近入荷したこちらの『水石入門マニュアル』をご紹介します。

 水石入門マニュアル

「この一冊で水石愛好の総てがわかる!」と銘打っているだけあり、読んでみると水石を鑑賞するポイント、例えば水石の5大要素など鑑賞の手がかりを得られます。それだけでも物の見方、愛で方が変わってくるように感じました。

 

 特に僕が面白いと感じたのは水石を置く水盤についてです。浅めの器に粒度を整えた綺麗な砂を入れたもので、この上に水石を据えます。据え方の良い例と悪い例が載っていて、全く知識のない僕でもその良し悪しを感じることが出来る分かりやすい写真です。水盤と水石のバランスによる総合美、調和が大事だと書いてあります。


 

 ちなみにこの「ワクワク作業シリーズ」第2弾は『盆栽入門マニュアル』でした。盆栽も同じように鉢の選び方で大きく印象が変わるかと思います。盆栽自体が生き生きと見えるかには、やはりこちらも総合的な調和という感覚が大事になるのでしょう。こういった水石でも盆栽でも、一つ自然を生活に取り入れることで、部屋自体も当然その調和の一部となり、豊かな生活の良い循環になりそうですね。

 

 最後に著者の松浦有成さんのあいさつを引用いたします。


盆栽と水石。その姿を変化させる植物と静的な石を対象とした両者の世界は、相反するようでいて、あたかも車の両輪のようにその境地を高めてきました。生きている盆栽が四季折々の彩を見せるのは当然のことですが、水石もまた、四季の移ろいをはじめさまざまな風趣を感得できます。対象を通じて山水の風情に遊び、壮大な宇宙をも垣間見ることが出来るのです。

 

 

 はじめ水石は盆栽に比べて管理は楽かと思いました。しかし石という静物がゆえに、それをある種生かしておくというのは奥深く、また手のかけがいがあるのかなと思いました。厖大な情報やコンテンツが存在する現代において、自然、あるいは宇宙までも感じられる瞬間はどれほどあるでしょうか。

気になられた方はぜひこちらの本について調べてみてください。入門者にはもちろん十分な情報量がありますが、コレクターやプロの方にもカタログや底本として価値があるかと存じます。

 

 

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小野

 


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