『茶道具の真髄 ―利休形― 利休のデザイン』(世界文化社、2009年)が入荷しました
今年2022年は千利休生誕500年の年に当たるとのことで、少しグーグルで検索しただけでも各地で特別展が開かれています。僕自身は雑誌で知りましたが、この機会に千利休について学び直すのにもってこいのこちらの本の紹介になります。
まずはまえがきの引用から。
今なぜ千利休なのか
混迷の時代にあって人は原点回帰するという。
茶の道を志すものにとって千利休は原点である。
400年余の時空を超えて今も作られ、使われ続けている利休形の道具の数々。
その姿には茶の道の原点とともに道具のデザインの原点が映し出されている。
10年以上前の書籍ですが、今もまだ、もしくは当時以上に混迷の時代だと言えるかもしれません。茶の道という日本人に自然に馴染む感性を学ぶことは、自分の美意識を見直す良い機会になるのではないかと思います。
利休の人柄を表す場面として、映画「利休」の冒頭では利休のもとに秀吉が朝顔を見に来るシーンがあるそうです。利休は庭一面にある朝顔を、秀吉が来る直前に一輪を残し全て切り取らせ、その早朝の朝露を含んだ一輪を茶室にいけてもてなしました。普通であれば朝顔は庭で見せ、茶室は別の趣向を凝らすところです。しかしそれは過剰な表現だと、文字通りばっさりと捨て去り、最もシンプルな極限の方法を選んだのです。すべてをたった一輪の選び抜かれた花に代表させる、その決断が出来るところに利休の芸術家としての芯の強さを感じます。
かなり大胆なことをやっているように感じますが、そこには彼の哲学が裏付けられているのだと思います。決して奇抜になろうとしたのではなく、考えに考えた末での行動だったのでしょう。利休のデザインは、形は単純で技巧は凝らしていないが、ささやかな変化で飽きのこない形です。ここでも過剰な表現を抑えるという哲学が感じられます。
彼の一貫した美意識が、残した作品の写真とその実用的な解説から、存分に感じられるかと思います。
巻末には道具名の索引も載っています。興味のある方にとってはは、何かの折に詳しく調べやすくなっています。コレクターの方やお仕事で扱う方には、便利なことはもちろん、価値を裏付ける「底本」としてもお使いいただけるかと思います。
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オノ