やっぱり作者のことが知りたいから…ー「写真で見る人間相関図 文豪の素顔」ご紹介ー
いよいよ冬が近づいてきたようです。
セーターを買いました。
本日は、読んだら少し違った視点から文学を楽しめそうな本をご紹介します。
「写真で見る人間相関図 文豪の素顔」(監修・高橋敏夫・田村景子・エクスナレッジ・2015年)です。
一般的に近代の小説家のビジュアルイメージというと、便覧や教科書に掲載される特定の写真で形成されるように思います。
でも彼らについての記録は、それらの学校で触れられるもの以外にもたくさんあります。現代と近いからこそ、残っているものは多いのです。
例えばこの「写真で見る人間相関図 文豪の素顔」における芥川龍之介紹介ページ。
芥川はやっぱりイケメンです。あと晩年とは少し印象が違いますね。
「知的だが痩せて神経質そうなよく知られた後年の姿とは、ひと味違った芥川龍之介のイメージだ」(68ページ、以下、参照した芥川龍之介については橋本あゆみ執筆)とこの本でも言われています。解説によれば、この写真が撮られた1917年頃は芥川にとっての最初の好調期であったそうです。その頃は、夏目漱石から短篇『鼻』を褒められて、第一創作集『羅生門』を出版、大阪毎日新聞に『戯作三昧』を連載、また同新聞に『地獄変』を執筆、などといった活動が相次いであり、新進作家としての存在感を増していました(68ページ)。
以前、田端文士村記念館を訪れた時、田端の自宅で木登りをする芥川の映像を見たことがありました。ああ、芥川ってこんなに身軽なんだなあ、楽しそうに木登りなんてしちゃうんだなあ、と思った記憶があります。
そんな芥川を見たら、ますます芥川に魅力を感じてしまう。
作品は作品として読解すべきとの向きもありますし、作者の中学校時代の成績とか友人関係とかをしらみつぶしに調べることが、どれくらい作品自体の豊かな読みに繋がるかはわからないというのは、きっとそうでしょう。まずは作品に対峙しなければ。
でもやっぱり、近代・現代の作者であるなら、作者自身に興味は持ちます。好きになった作品の作者には憧れ、好きになる。もし嫌いになるとしても、それはやはり作者を意識しているということになります。意識することがなければ嫌いにさえなれないでしょう。そう、作者抜きで近代・現代の作品に触れることはなかなか難しい、あまりに作者が近くにいるから。
私たちは作品にも興味があるけど、やはり人にも興味があるのです。だから作者のこと、知りたいのです。(作者の死とか言われるけども…)
そんな私たちの欲を、例えば今日ご紹介した「写真で見る人間相関図 文豪の素顔」などといった本で満たすのもよいかもしれません。
加えてこの本の素晴らしいところは、31人もの作家について、豊富な写真とともに短くまとめて紹介しているところです。パラパラめくってみると、今まで触れたことのない作家について、「こんな顔してたのか」とか「こんな家に住んでたのか」とか発見があるかもしれません。新しい作家との出会いにもおすすめです。
本日は作家についての好奇心を満たし、新しい作家にも導いてくれるような本をご紹介しました。気温も下がり家に引き籠りがちになるこの頃、よろしければご覧になってみてください。
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本日もお読みくださりありがとうございました。
コトー
※田端文士村記念館については以下を参照
https://kitabunka.or.jp/tabata/
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