探求されたアニメ表現を味わうーDVD「ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産) 」のご紹介ー
春の匂いを感じたような気がします。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
本日は以下のDVDをご紹介したいと思います。
「ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産) 」です。
「ベルヴィル・ランデブー」はシルヴァン・ショメ監督によるアニメーション作品。2002年。誘拐された孫を助けるべく、おばあちゃんが大冒険する話です。そのように書くと、子供向けでただただ楽しいような作品に思われるかもしれませんが、なかなかそうではありません。観る者に深い印象を残します。その理由を、考えてみました。
まず、単純なストーリーではあるのですが、台詞や説明がかなり少ないままに進んでいくのが魅力的です。
例えば冒頭、孤独で閉じこもりがちな孫のシャンピオンを元気づけようと、おばあちゃんはあれこれ彼にプレゼントをします。なかなか彼に変化をもたらすものが見つけられない中、ある時自転車を彼にあげると、彼は嬉々としてその自転車でこぎまわります。その経緯を示すのに、言葉はほとんど使われません。彼らの表情、体の動きと雰囲気が、彼らの感情を表し、物語を展開させていくのです。言葉によらずに心が通い、人に変化がもたらされる様子には感動があるし、それをアニメで表現できているのが素晴らしいです。
また、この作品からは、アニメとしての探求が感じられます。2Dの映像が展開していると思うと、そこにカメラで撮った映像が重ねられたりはめ込まれたりする。突風の中座る犬の頬の肉が震え歪むのを、スローモーションでこれでもかと見せる、その瞬間を表現したいのだという執着を感じさせるものを脈絡なく入れてくる。犬の眼の瞳孔に接近していって瞳孔の暗がりから次の場面に行くような、驚きのある展開をする。表現への欲望がひしひしと伝わります。その熱は観客を感動させるでしょう。
加えて、音楽も素敵です。物語では孫を探すおばあちゃんを、三人組の歌手が助けますが(ちなみに彼女たちは池に爆弾を仕掛けて爆破の衝撃で死んだカエルを拾い、カエルばかり食べて生活している!)、彼女たちの歌は聴くと思わず身体が動くようなものです。映画の後にも記憶に残って口ずさんでしまいます。
最後に、こんなに愛らしいアニメに見えるのに毒があることも、好感が持てました。いかにも可愛いとか、いかにも美しい、とかいったもの・人は出てきません。街は街で汚い。世の中はやさしくなんてない。人はそれぞれの特徴が強調され、醜さを持っている。このアニメの視線は意地悪です。でもそもそも、世界は醜かったのかもしれない。私の視線だって、意地悪なのかもしれない、そう認めたくないだけで。誰かや何かを気持ち悪いって思ったり、馬鹿にしたり、そういうものはあなたの中にも当然にあるでしょう?そんな問いかけをされた気持ちになる。
でもその中で、ほんの少しだけきれいなものが見えてしまう。物語最後、ほとんど喋らなかったシャンピオンが口にすることに、震えます。最後に述べるわずかな言葉だけで、ずっと語ることがなかった彼が何を思ってきたのか、伝わるのです。人間の儚さも、愛しさも、洪水のように押し寄せてくる。その体験はなかなか良いものですよ。
以上「ベルヴィル・ランデブー」についてご紹介しました。当店の在庫は「エディシオン・コレクトール」となっており、豪華なブックレットがついています。監督やプロデューサーなどのコメントもあり、読み応えありです。また、シルヴァン・ショメ監督の短編「老婦人とハト」のDVDも付属しています。ブックレットによれば、「ベルヴィル・ランデブー」の中には「老婦人とハト」のキャラクターが登場しており、また「老婦人とハト」はショメ監督の原点だとのこと。2作品を見比べるのも興味深そうです。
以上、本日はDVD「ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産) 」をご紹介しました。
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コトー
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