外務省編『日本外交年表竝主要文書』全2巻(原書房、1965-66年)が入荷しました
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近代日本外交の歴史に関する史料集が入荷しましたので、それを紹介しつつ、これまでの関連投稿にふれていきたいと思います。まず、入荷した史料集は次の書籍になります。
外務省編『日本外交年表竝主要文書』全2巻(原書房、1965-66年)です。「竝」とは「ならびに」と読む、「並」の旧字体です。ところで、下巻口絵に採録された、1931年の満州事変以降の、日中間あるいは日本と満州国間の条約や協定といった合意文書の画像を眺めては、中国の政治家は字がうまいなぁ、といつも感じています。他方、それら文書の日本側の調印者は軍人である場合が多いのですが、彼らの字は…(以下略)。日本軍人でも宮中武官を務めたような人物の場合、達筆な書簡を認(したた)めていたものなのですが…。
こうして旧字体や墨筆の話をすると、日本外交史の勉強を始めたころ、この史料集の年表、外務省外交史料館日本外交史辞典編纂委員会『新版 日本外交史辞典』(山川出版社、1992年)、そして漢和辞典を引きながら、外交文書やそれに基づく研究書を読んでいたことが思い出されます。文学部史学科だった私が歴史についてまず知ったことは、歴史の本とは、辞典なしに読めないものだ、ということでした。実際、読書というよりは、逐語検索をかけているような状態でした。数ページ読むだけでこの有様で、どうやったら卒業論文が書けるのだろうと恐れをなしたわけです。その上、筆の手書き文書を読み解かなくてはならないのですから、呆然としていました。しかも、日本の外交文書では、カタカナで「イリテーション」と出てくるような場面がしばしばあります。すなわちirritationを「苛立ちを募らせる」という意味合いで、カタカナで表記してあるといった調子です。そうなると英和辞典も必要になります。ただし、英語で済めばまだマシなほうですから、イライラしてはいけません(何かあった)。
とはいえ、外交文書は日付と作成者、そして受け取った人が明記されている、歴史の史料としてはきわめて重要なものです。歴史学が史料に基づくというのなら、外交史は歴史の王道に違いないと思い、外交文書を読み続けることはいずれ何かの役に立つだろうという若干の感触がありました。
そのことが役に立ったのかは、甚だ心許ない限りです。以前のブログで昭和初期に日中関係、およびその後の日中戦争に関する本を紹介しているのですが、そこでかつての勉強の成果を多少なりとも活かそうと試みました。ご関心がございましたら、下記リンクよりご覧いただければ幸いです。
※日中戦争期の額装品やアルバムをお譲りいただきました! あわせて日中戦争研究の必読書、戸部良一『ピース・フィーラー――支那事変和平工作の群像』(論創社、1991年)が入荷しました!(くまねこ堂骨董ブログ、2021年4月23日)
https://www.kumaneko-antique.com/17368/
※『衛藤瀋吉著作集第2巻 東アジア政治史研究』(東方書店、2004年)を紹介します。(くまねこ堂古書ブログ、2022年2月10日)
https://www.kumanekodou.com/28618/
小野坂
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