ヒロインの負うものー「風の谷のナウシカ 豪華装丁本」(上巻・下巻・徳間書店)のご紹介ー
受験シーズンです。
試験のために初めて上京した時のことを思い出します。東京の電車の混雑と混乱、そして広告の多さに驚きました。ぼんやりとしていることを許さない街なのだと。
受験生の方、応援しております。体にどうぞ気を付けて。
本日は以下の本をご紹介したいと思います。「風の谷のナウシカ 豪華装丁本」(上巻・下巻)(徳間書店)です。
以前もナウシカについて触れた記事を私は書きましたが
(2023年1月5日「映画音楽の再発見ー「風の谷のナウシカ サウンドトラック」のご紹介ー」https://www.kumanekodou.com/32148/)
ナウシカとは何者なのか、コミック版では映画版よりもさらに考えてしまいます。物語はナウシカを中心に進むため、我々はナウシカが何を考えて行動しているのかを辿ることができます。それでも、彼女の行為は正しい・間違っているの単純な二項対立に持ち込めないことがよくわかります。
このブログではネタバレを避けようと具体的なことを述べていませんが、彼女は別の立場の人間から見れば、大犯罪者とか、悪魔とか、そう認識されてもおかしくないのです。
それは現実世界の問題が、二項対立で処理できないことと同じでしょう。
また、ナウシカについて以前より考えていたことがあり以下を書いてみます。
ナウシカはかなり「女の子」として聖性を持たされている人物だと思います。胸が強調されていること、歯を見せてくっきりと笑うこと、からそれを感じます。だから何とも大変な女の子です。負わされているものの大きさよ、と。絶対に「女の子」でないといけない、そしてそんな「女の子」が救世主にならなければならない。いやいや、大変です。
そう思うなら、例えば、同じく宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」の千尋やリンは豊かな胸のある人物として描かれていないです。彼女たちは何かの心のくすぶりを持っていたり、バリバリに腕まくりして働いてたりしています。
一方、にっこり・くっきりとした笑みについては、宮崎駿の描く女の子はよく持っているように感じていましたが、「もののけ姫」のサンはそのように笑わなかったのではないかと最近思っています。エボシやタタラの女性たちが、腹から声を出して笑う場面があるのに対して、彼女は笑わない。アシタカに心を許した時にも、微笑むだけです。サンは宮崎アニメの女の子に珍しい、微笑みの人なのではと私は考えています。それは彼女が歯を見せて心から笑うような、そのようなことが許される育ち方もせず、環境にもおらず、というところからくるのでしょう。彼女はいつも引き裂かれている。
このようなことを端緒にして、宮崎駿アニメのヒロインの比較や変遷を見るのは、なかなか興味深いことに思います。
でも宮崎駿作品をじっくり観ていたのは大分昔の子供時代でしかないから、もう一度観返したら、今書いたことの反例が見つかってしまうかもしれません。また、宮崎駿に関してはたくさんの批評や論文があるのでしょうが、それも読んでおらず私は勝手に言っています。ですので、既に述べられていることなのかもしれません。勉強不足、申し訳ありません…。
いずれにしろ、宮崎駿のアニメは私をずっと惹きつけているし、考えたいことが山ほどあるし、どんどん出てきます。
拙い自分の文章ですが、今一度皆さまに、宮崎駿作品の魅力(そして危うさ)を伝えることができるのなら幸いです。
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本日もお読みくださりありがとうございました。
コトー
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