矢部宏治『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書、2017年)、同『知ってはいけない2――日本の主権はこうして失われた』(講談社現代新書、2018年)が入荷しました!

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 ところで、最近こんなニュースがありました。日米合同委員会の下部に設けられた「環境分化委員会(ESC)」の会合の映像が、在日米軍によって公開されました。日米合同委員会とは、主として在日米軍の広範な基地権に関わる日米間の合意、日米地位協定の運用に関する日米政府間会議のことです。日米合同委員会の映像が公開されたのは初めてのことだと日本の外務省は表明しています。

※「極秘会議」の映像を在日米軍がツイッター投稿 PFAS問題を意識? 日米合同委員会の環境分科委員会(東京新聞、2023年6月23日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/258619

 今回は、「日米合同委員会」の名を有名にした、ある本を紹介したいと思います。

矢部宏治『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書、2017年)、同『知ってはいけない2――日本の主権はこうして失われた』(講談社現代新書、2018年)

 矢部宏治『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書、2017年)、同『知ってはいけない2――日本の主権はこうして失われた』(講談社現代新書、2018年)です。著者の矢部氏は、書籍情報社代表の編集者で、日米安保に関する重要な研究を、創元社発行のシリーズ、「『戦後再発見』双書」から続々と世に出してきた方です。

 そのスゴ腕編集者の矢部氏自身の著書として刊行されたのが、上記画像の2冊になります。具体的な内容は、大変読みやすく書かれた同書を実際にお読みいただければと思います。この場であえて、同書の特色を記せば、次のような点が思い浮かびます。

 それは、矢部氏が日米間の条約や行政上の取り決めを読み解くにあたって、「ただし」あるいは「その他」、「など」といった英文記録の細かい点、さらには日本の外交文書の筆跡の違いから、矢部氏が「隠された日本支配の構造」と表現した大きな謎に接近していることです。

 英文については、主節の内容をゴッソリひっくり返してしまうような仮定法や条件の記載、あるいは変な目的語が存在するというのです。そういったことの目印になるのが “otherwise”(そうでなければ、ただし、といった意味で出てきます)や、定冠詞theのない単語に付された不自然な複数形の “s”に含まれるであろうわけのわからない取り決めだというのです。

 日本の運命は、一文、さらには一文字で決定されてしまうのです。この恐怖を、ぜひ矢部氏の著作や、矢部氏が担当された諸書籍で知る方が、できるだけ多くなってほしいと願い、こうして紹介しようと考えました。「知ってはいけない」は、これまでの話です。日米安保の構造を矢部氏が明らかにした以上、それは「知ってはいけない」のではなく、「知らなくてはいけない」ことのはずです。

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