アリストテレス『政治学』山本光雄訳(岩波書店、1961年)が入荷しました
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最近入荷した書籍を紹介します。一見平凡なタイトルの文庫本ですが、今日あらためて注目されているのか、アマゾン上でも一定の価格を保っている1冊です。
アリストテレス『政治学』山本光雄訳(岩波書店、1961年)です。アリストテレス(前384-前322年)は、古代ギリシャの哲学者です。現在でも日本語訳全集の新版が刊行されていますし、人工知能に関する経済と人権の問題を扱った最近の書籍(※)で登場するなど、アリストテレスの思想の重要性は明らかですね。
(※)たとえば、 Paul Mason, Clear Bright Future: A Radical Defence of the Human Being (Penguin, 2019).
社会における経済の位置づけに関する研究の一環で、アリストテレス『政治学』に着目したのは、ハンガリー出身の経済学者・文化人類学者のカール・ポランニー(1886-1964年)です。ポランニーは「経済」について考えるためにアリストテレスまで遡る理由について、次のように述べています。
「アリストテレスを、以後の著述家にはみられない、ラディカルな見方で人間の生活の問題にぶつかっていった人としてみることにしよう。つまり、人間生活の物質的な組織を彼ほど深く突っこんで研究した者はいない、と考えるのである。事実、彼は、経済が社会のなかに占める位置の問題を真正面から提起していたのである」
このような観点からポランニーはアリストテレスの重要性を取り出しました。その上でポランニー自身がかつて親しんだ20世紀初頭の中欧の社会学(テンニースなど)や、太平洋南部諸島の交易を扱った戦間期の文化人類学(マリノフスキーなど)の成果などを用いて、彼は「経済」を考えるための独自の視点を打ち立てようとしました。ポランニーが取り組んだ「社会のなかの経済の位置の変化」を明らかにするという課題は、私たちの時代の「経済」が財政問題、環境問題の点で深刻な局面を迎えるなかで、その重要性がますます高まっています。
※以上のポランニーに関する記述は、カール・ポランニー「アリストテレスによる経済の発見」(1957年)『経済の文明史』玉野井芳郎、平野健一郎編訳(筑摩書房、2003年)第8章。
ポランニーにならって、2000年以上遡って「経済」について考えてみてはいかがでしょうか。その端緒としてぜひ、アリストテレス『政治学』をお読みください。
小野坂
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