「盆踊り唄 踊り念仏から阿波踊りまで/竹内勉(本阿弥書店)」を紹介

お盆前は毎日のように各所でお祭りがありました。

私の地元ではこちらほど賑やかにやっていませんでしたから、今年は色々出向いてみました。なかでも盆踊り大会が素晴らしい!装飾は豪奢で人々は高揚感ありながらも 時の流れは穏やかで聡美です。東京では東京音頭 大東京音頭が定番のようですが、地方出身の私は炭坑節やドラえもん音頭までしかついていけずアウェイでした。その晩は踊り明かして帰宅してから東京生まれの友人に習い明け方まで踊り続けたのでした。

きょうはこちらの本を紹介します。「盆踊り唄 踊り念仏から阿波踊りまで/竹内勉(本阿弥書店)」

盆踊りが鎌倉時代に発達した踊り念仏に由来することはご存知でしょうか。そんな大古に起源を持ちながら、今日までどのように民俗風習として伝承されてきたのか、本書では735年の変遷を地域ごとに探究しています。

 

第一章の5つ目「盆踊り」が定着する諸条件、親しみやすいテーマのこちらを少し読んでみます。

筆者の竹内氏は条件として6つあげています。それらからとりわけ興味深いものを3つ取り上げます。

・その地域に盆踊りを求める状況が作り出されていること

盆踊り始まったとされる鎌倉時代末から室町時代は源平の合戦から戦国時代へと戦続きでした。その度に戦火に見舞われた農民は心の安らぎを求め 憧れである踊り念仏を行ったそうです。京の都との一体感が感ぜられ 踊っている間は現世を忘れられるということです。過酷な状況下にある時 視野が狭くなって脱出できなくなりますが そのような時歌って踊ろうとなるのは素晴らしいです。しかし一つ先の次元にある感じもします。盆踊りで最高になるには自己を解放しなければ。

・その地域に、盆踊りを歌い踊るための歌や踊りの手本を見せれば、すぐに模倣できるだけの技量をもった人材が揃っていること

同章で登場する喜界町上嘉鉄では 八月踊りという風習があったため町民は歌って踊ることによく馴れていたそうです。そういうわけで盆踊りが伝承された時、違和感なく受け入れられたといいます。その他の地域でも前より歌垣が行われていたなど親和性の良い環境があったのですね。

・その地域の人たちが、尊敬できる人が、盆踊りの伝達者であること

上嘉鉄の場合は、上嘉鉄出身で本州への渡航経験もある西山順吉が伝達者であったといいます。この男は踊りや芸能に詳しく、芸事に明るいうえに容姿その他で人々を憧れさせる何かがあったそうです。いいDJがいるといい空間が生まれますから、納得できます。中野の盆踊り祭りはボンジョヴィで踊っていましたが そうした新しい盆踊りソングが受け入れられるのも 共感させられるような、伝承者のセンスがあるのでしょう。

いかがでしたでしょうか。

盆踊り含む風流踊りは昨年ユネスコ無形文化遺産に登録されたそうです。

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