「学研まんが ひみつシリーズ」の旧・新版について
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学習用のマンガは、科学や人権意識の発展にしたがって、内容が更新されることがあります。今回はそのような例として、以下の学習漫画を紹介します。
「学研まんが ひみつシリーズ」の第19巻にあたる、『できるできないのひみつ』です。同書は身近な自然現象について、たとえば「人間は、鳥のように飛ぶことができるか」どうか、という切り口で解説しています。
ところで、現行版の冒頭の注記には、下記のものがございます。該当のページをスライド化しています。
基本的には、「作品に描かれている時代背景を考慮し、当時のまま」としているとのことです。それでも、完全に当時のままではなく、削除された箇所もあります。それが上掲画像右のキャラクター紹介のページ、「デキッコナイス」の部分です。次に、1976年発行の旧版の同じページを示します。
ある表現が削除されていることがわかります。今日からみれば明らかに問題のある表現ですが、先に掲げた現行版の注記とあわせると、改版にあたっての校正者の苦衷が偲ばれます。単に自然科学の教科の参考書というだけでなく、教育の歴史の一側面として、今回の削除箇所をめぐる事情に注目しました。このような形で、古めかしい学習マンガが、今日的な課題との関連で重要な資料となる場合があります。子どもたちのためによりよいテキストを作ろうとしてきたなかでの出来事として直視べきことだと考え、こうして紹介しています。現在の私たちも、未来の目線に耐え得るだろうかと問われているのではないか、著者を今日の視点で断罪して済む問題だろうか、との思いでこうして取り上げました。
小野坂
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