原武史『日本政治思想史』(放送大学教育振興会、2017年)を紹介します
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9月になりましたが、残暑どころか酷暑真っ最中で、しかも台風が接近しているようです。しばらくすれば、もう少し穏やかな気候になるのでしょうが、それまでは散歩コースを考えるとしましょう。
そこで、散歩の友となる本を紹介したいと思います。
原武史『日本政治思想史』(放送大学教育振興会、2017年)です。著者の原氏は、鉄道に関する該博な知識をもとに、空間と時間の両視点から新鮮な議論を提供することで知られています(知られています、と書きましたが、これは建築と政治との関連を研究しているある歴史学者の方からうかがった話です)。
本書には「戦後の『ソ連』化」と題して、東京都の鉄道と団地の配置を戦後の政党政治史に結びつけた刺激的なパートがあります。このパートを読んで、なぜ、日本の左派革新政党が1960,70年代に活発な活動を展開していたのか、高度成長期に整備された鉄道や公営住宅といったインフラと日本の左翼運動との関係、とはいかなるものだったのか。その上で、1960,70年代当時の条件は、現在にも残っているか、それとも逆転してしまっているのか、こういうことを考えずに現代日本の政治が語れるのか?と問いが次々に浮かんできました。
そういうことを考えつつ、西武新宿線やJR中央線の沿線を歩いてみろ、という散歩のススメを、私は原武史『日本政治思想史』から受け取りました。踏切に気をつけつつ、散歩するのが目標です(実際、考え事をしていることかなり危険な箇所があります)。
小野坂
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