美術書や歌舞伎関係の本を買取いたしました📚
毛糸のカーディガンを引っ張り出してきました。夏にあんなに汗をかいていたことが信じられないです。もうこんな季節になってしまったのか。あの日照りは幻だったのだろうか、の気分です。
先日は江東区清澄白河に出張買取でお伺いし、美術書や図録、実用書、歌舞伎の本などをいただきました。
かなり古いものもいただいております。
歌舞伎に関するお話を聞けたのも、大変素敵な時間でした。
また、ご近所の方の不要な本の整理もお手伝いさせていただきました。ご紹介していただいたこと、大変ありがとうございました。
いただいた書籍の中で、目に留まったものをご紹介します。
岩崎昌子「イヌイットの壁かけ」(暮しの手帖社、平成12年)です。
この本には、著者岩崎氏のコレクション119枚の壁かけが紹介されています。
少しのぞいてみます。
意外であったのは、この美しい壁かけたちは、近代化に伴うイヌイットの生活の変化によって生まれたものであったことです。以下、岩崎氏「あとがき」を参考にまとめてみます。
極寒の地に生きるイヌイットにとって必需品であるのが、フード付きの毛皮の上着であるパーカです。その防寒着は、大変な手間をかけて家庭で作られていました。例えば、皮を歯で噛んでやわらかくする、骨の針と、動物のスジから作った糸とで一針、一針縫いあげる、といった工程がありました。
皮で衣服を仕立てる仕事を嘆く、「こんなにつらい仕事が続くなら、私は、いっそ海の魚になってしまいたい」という詩もあるそうです。イヌイットの女は、家族の防寒着を作るために、辛い針仕事をしてきたのです。(参考:155p)
それが、近年は異なる状況となっています。パーカは、ダッフル地や防水加工のされたキャンバス地などで、縫製センターで作られるようになりました。そしてそこには、色とりどりのフェルトによる、アップリケが施されています。その端切れを利用し生まれたのが、この本で紹介されたような壁かけなのです。(参考:155p)
イヌイットの生活は現在、過去と大きく変わっています。雪の家であるイグルーには住まず、セントラルヒーティングのあるプレハブに住んで、犬ぞりではなくスノーモービルを走らせています。キリスト教への改宗や、化学繊維の生活への浸透も進んでいます。(参考:156p)
2000年に出版されたこの書籍で上記のように述べられているのですから、2023年では、より大きな変化があるのかもしれません。綺麗な壁かけから、我々は、遠い遠いところにいる彼らに思いを馳せます。今、どうしているのでしょう。
岩崎氏は、あとがきを次のようにまとめています。
この「イヌイットの壁かけ」は、民族の誇りと郷愁を縫いとった記録であると同時に、新しい 時代をむかえ、遠く6500キロもはなれた、私たち「南」に住むものたちのもとによせる、楽しく、生命力あふれる友好のメッセージなのではないかと思います。(156p)
私たちがこの本の中で見る壁かけも、イヌイットの人々が生きた証なのだとわかりました。変わりながら、その中でもイヌイットは生活を続けてきたのだということを、我々に伝えてくれるものなのです。壁かけを縫う一針ずつにも、彼らの軌跡が宿っているのです。
この本を眺めながら、遠く、しかし同じ地球に生きる人々を思うのはいかがでしょうか。以上、岩崎昌子「イヌイットの壁かけ」(暮しの手帖社、平成12年)をご紹介しました。
くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。
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コトー
買取品目・ジャンル | 美術書・図録・実用書・歌舞伎 |
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商品名・作品名 | 岩崎昌子「イヌイットの壁かけ」(暮しの手帖社、平成12年) |
出張先・エリア | 東京都江東区清澄白河 |
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