「源氏物語と紫式部 研究の軌跡 研究史篇・資料篇」ご紹介ーくまねこ堂では学術書・専門書の買取を強化していますー
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あたり前のように時は過ぎて、2月となりました。観たい観たいと思いながら、大河ドラマ「光る君へ」を視聴できていません…。しかし、当店の在庫に以下の本を見つけ、やっぱり時間を作って大河ドラマを観るぞの心構えになりました。
見つけたのは「源氏物語と紫式部 研究の軌跡 研究史篇・資料篇」(2008年・社団法人紫式部顕彰会編・角川学芸出版)です。
角川公式サイトのこの本の紹介文には、以下のような説明があります。
研究史篇のIでは、昭和の源氏物語研究史を作った十人の人間性と学問を味読、IIの研究論文からみる源氏物語と紫式部では、これこそがという実のある研究論文四十篇を取り上げ論評し、資料篇においてその論文を掲載
つまり、この1冊で研究史の大枠がわかるのです!便利!源氏物語に興味を持った大学生の方など、この本をぱらぱらめくって研究に触れるはじめにしてみるのもよいかもしれません。
以下、もう少し内容を紹介します。
研究史編は二部構成です。第一部では、昭和の源氏研究を作った研究者たちについて、現代の研究者が論じています。例えば島津久基について秋山虔が述べています。その中にこんな記述を見つけました。
抑、島津は少年時代に八犬伝や近松物などになじんでおり、中学生になってからも、源氏物語には平家物語が平家のことを書いているように源氏の代々の武将のことが書かれているとばかり信じていた由である。(研究史編・16ページ)
意外だ…。
過去の巨人のような研究者たちのパーソナルな部分を知ることは、このような本をたまたま開くような機会がないと、なかなかないのかもしれません。でも、彼らの個人的な部分に触れると、源氏物語の分厚い研究史はやはり生身の人間たちの産物であるのだなあという、感動があります。
また、第二部では現代の研究について、重要論文を研究者が評しています。例えば、益田勝実「日知りの裔の物語-『源氏物語』の発端の構造-」について、天野紀代子が述べています。
自分が益田「日知りの裔の物語」を読んだ時、「生き方の系譜」(!)という考え方に感銘を受けたのを憶えています、エモかったです。かっこいい論文なのです。
でもそれに加えて、研究者天野により、この論文がどのように画期的であったのかを説かれるのは、研究史という観点からも面白いです。
そして、「資料編」には、この本で論評された論文が収録されています。先ほどあげました、益田「日知りの裔の物語」も読めます。様々な論部について重要であることの指摘があっても、大概は図書館を行ったり来たりしてコピーするだけで疲弊してしまうのですが、この本ではそのまま論文の本文にアクセスできます。素晴らしい!
今回紹介しました「源氏物語と紫式部 研究の軌跡」は研究史編・資料編のセットで研究史の重要と大枠が掴める、とても便利な本です。そして、改めて、人間の個々の思考と汗の積み重ねで研究が受け継がれていくのだということもわかる本です。
大河ドラマで源氏物語が話題となる中、大河を観つつ、1000年読まれた物語が、どう読まれてきたのかに触れてみるのはいかがでしょうか。
くまねこ堂では、今回あげましたような専門書・学術書の買取を強化しています。
他にも、以下のような買取事例がございます。
「宅配買取で学術書・専門書・音楽書・楽譜などをいただきました🎶」2023年12月23日記事
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