買取事例
平井吉夫編『スターリン・ジョーク』(河出書房新社、1983年)が入荷しました。
いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。
以前、ソ連農業の歴史に関する本を紹介したことがあります。そこで取り上げたのは、1920年代の多元主義的な「小農経営」、あるいは「農工結合体」の思想であり、それは1927年末からの「穀物調達危機」を経て党中央に権力が一極集中する政治体制(スターリンの独裁)が形成される中で忘却されていきました。こうした経緯で1930年に成立したソ連の政治体制のもと、中央集権的な経済計画を遂行するのが「共産主義国家」とみなされることになります。そして1980年代末のソ連崩壊期に、1920年代の農業経営思想が再評価され、現在では食と農の国際関係史や環境社会主義の観点から着目されるようになってきました。ソ連史において1920年代と1930年代の断層は大きいものがあり、それをどう理解するのかということは、ソ連崩壊期においても重要な論点であったにとどまらず、現在でも依然として大きな課題です。
とくに、1930年代以降の政治体制や経済計画がどれほど人々を抑圧するものであったのかは、現在では周知のことのようではありますが、ややもすれば面白おかしく誇張されたネタとして消費されているようにも見受けられます。
※アレクサンドル・チャヤーノフ『農民ユートピア国旅行記』和田春樹・和田あき子訳(平凡社、2013年)が入荷しました~忘れられた「小農経営の環境社会主義」(くまねこ堂古書ブログ、2022年7月7日)
https://www.kumanekodou.com/30274/
ただし、ソ連の政治体制や経済計画が面白おかしいネタになっているのには、一定の理由があります。民衆は単に抑圧されるだけではなく、様々な抵抗を試みていたのであり、その暮らしはジョークとともにあったからです。「農民ユートピア」を描いた農業経営学者が去ったあとは、共産主義国家のディストピアに対するジョークが語られたということになるでしょうか。それらジョークは、直接にソ連を扱ったものではないディストピア小説の端々に埋め込まれる形で、私たちにとって意外にも身近なものとなっているかもしれません。
今回紹介するのは、そうした「どこかで聞いたことがあるかも」と思うネタを集めた書籍です。
平井吉夫編『スターリン・ジョーク』(河出書房新社、1983年)です。ここに収録されたジョークには「なぜソ連には魚が不足しているのか? 肉不足をごまかすためである」(34頁)という、最初の質問で想定されたこと以上の問題で答えるというような、比較的わかりやすいものから、下記に紹介するような若干込み入ったネタもあります。
キリスト者は天国の楽園から追い出された人間の罪から語り始めますが、他方で共産主義者は「地上の楽園」を建設しようとしたといわれることがあります。それでは、現実はどのようなものであったのでしょうか。「楽園」ジョークには次のようなものがあります(29頁)。
===
アダムとイヴは最初のソヴェト的人間である。
どうして?
アダムのイヴは裸で暮らし、ほとんど食べず、家もない。そして、自分たちは楽園にいると思っている。
===
このジョークの発祥がいつだったのかは定かではありませんが、1917年の革命から内戦および国際的な干渉へといたる抗争において、ロシア経済は危機的状況にありました。そして、1920年代半ばの経済再建の兆しは、前述の「穀物調達危機」の発生により打ち砕かれてしまいます。そうすると、上記の「楽園ジョーク」は、常に言い伝えられていたのかもしれません。このジョークは、キリスト教的自由の観点から、共産主義体制を批判する観点を含んでいます。それは簡単にいえば、人間に「地上の楽園」を創造する力がないことを認め、神に従順となるべきだとの信仰の下、権力に歯止めをかけようとする姿勢です。こうしてみると、このジョークの方向性は1930年代西欧やアメリカにおけるキリスト教社会主義の展開と類似する面もあり、クスっと笑っておしまいになるネタではないのかもしれません。
▲世界のジョーク集
ところで、ジョーク集という点では、ソ連の歴史を笑うのみでいてはなりません。最近、戦時中の日本におけるジョーク集も刊行されました。それは、高井ホアン『戦前反戦発言大全: 落書き・ビラ・投書・怪文書で見る反軍・反帝・反資本主義的言説 (戦前ホンネ発言大全) 』(パブリブ、2019年)です。同書は、特高警察による取り締まりの記録を中心に、戦時下日本の便所の落書きから浮かび上がる本音で語られた反戦感情を取り上げたものといえます。その本音の例としては、次のものが挙げられます。
「小生は日本人なれどもソビエトのスパイ」「スターリンばんざい」
「実力のある者をドシドシ天皇にすべきだ!」
※『戦前不敬発言大全』と『戦前反戦発言大全』が完成したので紹介します。(パブリブ、2019年6月11日)も参照。末尾の引用も同じ。
https://publibjp.com/20190610
『スターリン・ジョーク』でソ連を笑ってしまったのなら、返す刀で切腹するように我が国の有様も笑おうではありませんか!
「俺は日本の国に生れた有難味がない、日本に生れた事が情無く思う」
小野坂
板橋に買取に伺いました
引っ越しシーズン、お片付けの春ですね。
先日は板橋へ出張買取に伺い、お片づけのお手伝いをさせていただきました。
多様な分野の多くの蔵書から、諸星大二郎、谷口ジロー、松本零士などの漫画や心理
学、美学、評論書から辞典まで様々なジャンルの本をお譲りいただきました。
谷口ジローといえば『孤独のグルメ』で有名ですね。先日『孤独のグルメ』で紹介された池袋の中華屋へ行き、井之頭五郎のグルメ体験を堪能したところでした。
谷口ジローの功績はそればかりではありません。
彼の描く絵は、海外、フランスやベルギーの作家の影響を強く受け、谷口ジロー自身もヨーロッパなどで高く評価を受けフランスでは芸術系統で多数受賞されています。そんな中の『遥かな町へ』など貴重な本をお譲りいただきました。
今回お譲りいただいた本の中には、谷口ジロー『リンド3』や松本零士の『おいど
ん』などかなり古いものまでありました。これらに触れ、平成生まれの私が、昭和の
古きを懐かしく感じてしまうのは、古い蔵書と共に舞うホコリの影響でしょうか。
★☆★
くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!
寺
世田谷に買取に伺いました
先日、東京都世田谷区に買取に伺いました。
CD、音楽DVD、コミックセットから釣り具までさまざまのものをお譲り頂きました。
その中に、矢口高雄の『釣りキチ三平』がありました。
釣り好きの三平が世界中の海や川で釣りをする話なのですが、作品に登場する魚については、そのほとんど全てを実際に作者自身が釣っており、作中に登場する釣りスポットの中には実在する場所も多くあるそうです。
釣りが趣味の方の中には、深海200メートルの魚だけを狙って釣りをしている人がいると聞いたことがあります。
オニカサゴという高級魚が釣れるらしいです。大きさにもよるそうですが新鮮なもので一匹5千~1万円で取引され、いいオニカサゴが釣れた時、漁港の近くの寿司屋にプレゼントすると無料で寿司を食べさせてもらえると言っていました。とてもうらやましいです。
しかし、オニカサゴを釣るにはえさの付け方や仕掛けの投入の仕方など細かなところまでこだわる必要があり、簡単ではないようです。
私も一度、海釣をしたことがあるのですがなかなか釣れず過酷でした。真冬の深夜の堤防で3~4時間凍えながら釣竿をにぎりしめていた記憶があります。それでも4匹ほどアジを釣ることができ、その場でさばいて食べました。頑張って釣ったアジはとても美味しかったです。これこそ釣りの醍醐味ですね。
ここ最近、暖かくなってきたのであの時よりは気軽に楽しく釣りが出来そうです。
他にも山の本や釣りの実用本も頂きました。それらの本を参考にアクティブに遊ぶのも楽しそうですね。
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くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!
寺
茨城県土浦市へ出張買取に伺いました
先日は茨城県土浦市へ出張買取に伺いました。
漫画や本がお好きだったという息子さんのお部屋のご整理で、石塚真一、諸星大二郎、谷口ジロー、山岸涼子、高橋葉介、萩尾望都などの漫画、コミック全巻セット、歴史、選書、カセットテープ、CD、DVD、キャンプ道具など様々な物を買取させていただきました。
相当な蔵書数をお持ちの本好きな一方で、登山などアウトドアもお好きだったようです。そういったお話をさせていただきながら、お品物を見させていただきました。石塚真一の『岳』をお持ちでございました。きっと燃えたことでしょう。
映画が上映中の『BLUE GIANT』は僕も大好きです。世代的にはくまねこ堂店主と同じくらいでございましたが、大友克洋など僕も好きな漫画もあり、少し嬉しく感じました。
ご整理を進めた上で、最終的にはお部屋の丸ごとお片付けをしなくてはならないとのことでした。くまねこ堂ではそういった本以外の家具、家電などを含む残置物のお片付けも承っておりますので、ご提案をさせていただきました。
くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。
ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!
今回もお読みいただきありがとうございました。
小野
池内了『生きのびるための科学』(晶文社、2012年)が入荷しました
くまねこ堂では様々なお品物を扱っております。それらお譲りいただきました品々を、なるべくタイムリーな形で当ブログにて紹介してまいります。また、書籍・古道具などのご処分をご検討の際は、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。
お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております!
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さて、今回紹介する本との関連で、次のニュースにふれたいと思います。
原発60年超運転へ「束ね法案」を閣議決定…老朽原発への不安は消えないまま(東京新聞、2023年3月1日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/233783
原発の運転年限をめぐる問題は、今国会の重要な争点の一つです。タイムリーにも、2011年3月11日の東日本大震災、およびそれに伴う原発事故を受けて刊行された評論集が入荷しました(3月15日作成)。
池内了『生きのびるための科学』(晶文社、2012年)です。名古屋大学名誉教授の池内氏は、宇宙物理学の専門家であり、科学技術と社会と関係性について多くの評論を発表されてきました。まずは、最近のニュースとの関連で、原発の運転期間について、3・11直後にどのような議論がなされていたのかを、本書をもとに振り返ってみたいと思います。
本書に収録された評論(初出は『北海道新聞』掲載の2012年2月3日付記事)で、池内氏は次のように述べています。
「やっと政府が原発の運転期間を『原則として四〇年に制限する』ことを柱とする原子炉等規制法の改正案を法制化する方針を発表した。以前から老朽原発の危険性が指摘されており、政府もやっと腰を上げたと歓迎したい」(68頁)
その一方で池内氏は、「原則として」という文言で例外をほのめかすような点に「法の精神が空洞化される危険性」があると付言しています。実際、2012年改正法案の場合、例外では、最長で60年の運転期間が認められることが当時から指摘されていました。これでは、合法的であったとしても、原発事故を防ぐための規制というこの法律のそもそも趣旨に合致しない事態も出てきてしまう可能性があるわけです。
続けて池内氏は、「老朽原発」がどういった代物なのかについて、簡潔にまとめています。
「福島第一原発の1号機から5号機まではすべてマークI型と呼ばれる一世代前のタイプで、格納容器が脆弱で地震に弱いという欠陥を抱えている。さらに、古い基準で設計された原発は当初予想もしなかった不具合があちこちに見つかり、つぎはぎだらけの原発と言っても過言ではない。実際、今回の地震動で配管が損傷し、格納容器にひびが入ったのではないかと指摘する学者もいる」(69頁)
このように「老朽」というのは、そもそも、地震に弱い格納容器を含む旧来の設計であるという意味があります。また、長期間の運用において建設時に予想もしなかった不備という形で経年劣化が生じています。その上で、震災時に事故を起こした原発まで存在するということに注意を払わなくてはなりません。
この現実をふまえ、今国会の原発法案の是非を考える必要があります。該当の法案は、「原発の運転期間についての新制度は、新規制基準の審査で停止した期間が、60年を超えて運転できる期間に加算される」(前掲の東京新聞記事)という規定を含むものです。そのため、上記の老朽化の問題に加え、「審査で停止した期間」で延長戦をやっていいのかどうか、という点も問われるべきでしょう。その際、原発は大きな機械をコンピュータ制御で動かしているものですから、長い間使用していなかったパソコンや自動車がスムーズに動くかどうかと想像することは、そこまで間違ったたとえ話ではないように思われます。
2012年刊行の書籍を、現在の国会に出された法案を考える際に参照してあらためて、原発事故は終わっていないのだと認識させられました。
小野坂
町田市へ出張買取に伺いました!🚙三≪♪くまねこ堂では即日出張買取も承っております♪≫
先日町田市山崎団地へ出張買取に伺いました!
今回は当日にご依頼をいただき、スケジュールが合いましてそのまま直ぐ向かわせていただきました。
くまねこ堂では即日出張買取も可能な場合がございますので、ぜひお気軽にお問い合わせください♪
さて、長年大事にされていたジャズ関連の本を中心に、ジョージ秋山、どおくまん、750ライダーなど絶版漫画、植草甚一スクラップブック、グラビア写真集、レコードをお譲り頂きました。
Swing Journal社のガイドやジャズ批評です。グルービーな面々。
現在も出版され続けているジャズ批評ですが、これらは80年代のものです。
一目見て分かりやすいテーマが印象的だったのですが「これが○○だ」シリーズの後、更にシンプルなタイトルが付けられていることに気づきます。
シンプルイズベスト!
植草甚一スクラップブックも多数お譲り頂きました。
映画散歩、コーヒー一杯のジャズ、タイトルだけみても大変文化的な読み物である感じがします。
そしてPOPEYE(マガジンハウス)っぽい・・・(「ぼくたちにはミンガスが必要なんだ」とか特にもう!)。
これまでに寄稿されていたりするのかなあと検索してみたところ・・
・・・衝撃の事実にたどり着きました。
以下はカルチャー雑誌『Switch』の創設者である新井敏記氏のインタビュー記事です。
1982年当時、マガジンハウスはまだなく、平凡出版として「ポパイ」の編集部は貸しビルの4階にあった。「ポパイ」の文体のモデルは二人、植草甚一と片岡義男、二人ともアメリカのカウンターカルチャーの紹介者だった。海の向こうで起こっている出来事を生き生きと語るその世界、「ポパイ」は夢の扉を開けていった。(Switch Online「2つの段ボール」より引用)
やや。「ぼくたちにはミンガスが必要なんだ」事件の謎が究明されましたね。
植草甚一がPOPEYEっぽいのではなく、POPEYEが植草甚一をリスペクトしていたと!
また、欧米のカルチャーをエッセーの形式で発信する植草甚一は時代の先駆けであり、文家系若者たちの教祖的存在であったことが読み取れます。
私自身いちPOPEYE読者ということもありこのような植草甚一との邂逅に運命的なものを感じざるを得ません。
今回お譲りいただいたスクラップブックはじめ色々な植草甚一作品を楽しみたいと思います♪
最後になりましたが、
くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。
今回のような即日出張買取も可能な場合がございますので是非お気軽にお問い合わせください☺♪
ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!
今回もお読みいただきありがとうございました。
星
春のモヤモヤを吹き飛ばせ!~数独のすすめ~ #数独 #ニコリ
急に暖かくなってまいりました。着るものに悩む今日この頃です。
突然ですが、皆さま、春はお好きでしょうか?
私はちょっと苦手です。
子どもの頃から新しい環境に馴染むのが大の苦手だったので、新年度というのは毎年つらく憂鬱で、泣いて過ごしていた日々のことを大人になった今でも思い出してしまうのです。
メランコリックな思考が止められない時、ありますよね…
そんな時に、おすすめな気分転換の方法があります!
数独です!!
↑こちら、「パズル通信ニコリ別冊 数独通信vol.32」(2017年)です。
数独、またはナンプレ。
みなさんやったことはあるでしょうか?
基本的には9×9のマスの中に、1~9の数字をタテヨコ、3×3のブロック、それぞれにかぶらないように入れていくというシンプルなパズルです。
解き方のコツはいくつかあるのですが、色々と名前があることは知りませんでした。
レッツミー、マスミ、いずれにしても理論、井桁理論…🤔??
文章で説明してあるのを読むと何とも難しそうではあるのですが、
実際やってみるとそこまで複雑なことではないです。
私も最初は、
「こんなめんどくさそうな意味わからんパズル、できるわけないだろ!」
と思っていたのですが、
ある日新聞に載っていた数独の問題をなんとなく解き始めたら意外とできたので、そこからハマってしまい、いまでは簡単なものでは物足りなくなり、「難問」とタイトルに入っているようなマニアックなパズル誌を購読するまでになりました(笑)
数独にも色々あって、奇数・偶数の入るところが色分けされてたり、マスの一部が連結した合体ナンプレとか、9×9じゃなくて16×16という巨大なものもあります。
こちらは、数独通信の巻末にあった25×25の問題。
数独の素晴らしいところは、頭が良くなくても、数字に弱くても、執念深ささえあれば誰にでも出来るというところです👍🏻
途中で行き詰って何日も進展がなく、これはもう解けないかも…
と、あきらめかけたときに突然突破口をみつけて、あれよあれよという間に最後まで数字を埋めることが出来たりするのですが、そういう時の快感がやみつきになってしまい、私は数独の虜になってしまいました(笑)
ラジオや音楽を聴きながら数独をやってると、いろんなモヤモヤを一瞬忘れることが出来るのでとても良いです。無になれます。
ちょっと地味で暗い趣味と思われるかもしれませんが、数独、おすすめです✍🏻
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ポエ
ロバート・N・プロクター『健康帝国ナチス』宮崎尊訳(草思社文庫、2015年)が入荷しました~「無責任な純粋さ」と「死への欲望」
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以前、ロバート・N・プロクター『がんをつくる社会』平澤正夫訳(共同通信社、2000年)を紹介したことがあります。同書第4章「レーガン政権の役割」には、「ロナルド・レーガンこそ〔一九〕八〇年代のもっとも強力な新種の発がん物質であったのかもしれない」という記述があります(173頁)。この一文は、プロクターの関心の所在を示すものとして重要に思われます。ガンという病気を生み出すアメリカの社会構造に目を向けているプロクターは、その構造を生み出したレーガン政権の役割を検証しているのです。
※ロバート・N・プロクター『がんをつくる社会』平澤正夫訳(共同通信社、2000年)が入荷しました~レーガン大統領は「新種の発がん物質」だった!?(くまねこ堂古書ブログ、2021年9月21日)
https://www.kumanekodou.com/27705/
同様の視座から、プロクターはナチス・ドイツの「健康運動」と呼ばれる分野も研究しています。
それが最近入荷しました、ロバート・N・プロクター『健康帝国ナチス』宮崎尊訳(草思社文庫、2015年)です。同書原題は、身体の病気である「ガンに対するナチスの戦争」というものであり、前掲の『がんをつくる社会』と同一の関心から取り組まれた研究であることが伝わってきます。それでは、「もっとも強力な新種の発がん物質」がレーガン米政権なのであれば、「ガンに対するナチスの戦争」とは何なのでしょうか。プロクターは『健康帝国ナチス』の目指すところを次のように述べています。
「本書の焦点はナチスの人種犯罪よりむしろ、この恐るべき犯罪の陰に隠れて、これまで忘れられがちだった健康運動の実態を明らかにすることである。失われた知恵の輝きを取り戻す、あるいは現在の高みから過去を批判することではなく、ナチス政権のもとでの不幸な現象といえる「良質な科学」とは何だったのかを解明するのが目的である」(15頁)。
上記の「不幸な現象」を直視するために、プロクターは以下のように読者へ呼びかけています。
「我々はファシズムに思想の全体主義というイメージをもっている。ナチスのレトリックと価値観がドイツ人の精神生活の隅々まで浸透していたと考える。が、それは必ずしも正しくない。科学は忠実かつ中立な僕として、政治とは無縁に経済力・軍事力を支援する動力として許容されていた面が多いのだ。ある分野の研究者たちがもろ手を上げてナチスに賛同したのも事実であるが、それと同時に怖いのが、政治から絶縁された修道院にでもいるかのように黙々と研究を続け、結果としてナチスに協力していた科学者たちなのだ」(14頁)。
このように述べてプロクターは、上記の科学者たちが陥った「無責任な純粋さ」という問題に対して注意を向けるよう読者に促しているのです。恐るべき政治体制は、悪意を持った独裁者の暴力的な押しつけによってのみ成立するわけではありません。歴史の教訓からは、黙々と自分の職責を果たしているつもりの私たち一人ひとりがそのような政治体制を支えてしまう、という一面が浮かび上がってきます。プロクターの一連の書籍を読んで私は、真面目な一人ひとりの働きが、社会全体にとってはガン細胞のごとき存在となってしまうことに恐怖を感じました。
なぜそうなるのかを、別の面から示した研究もあります。
エーリッヒ・フロム『破壊――人間性の解剖(合本)』作田啓一、佐野哲郎訳(紀伊国屋書店、2001年)は「生命あるものを死へと変貌させる情熱(ネクロフィリア)とサディズムをとりあげ、スターリンやヒトラーの性格分析」に取り組んだ書物です。こうした精神分析によって明らかになった人間性については、関連で次の書籍も重要です。
アリス・ミラー『魂の殺人――親は子どもに何をしたか』山下公子訳(新曜社、1983年)、アリス・ミラー『禁じられた知――精神分析と子どもの真実』山下公子訳(新曜社、1985年)は、幼少期の「しつけ」が子どもに何を植えつけてしまうのか、といった点に迫るものです。
「しつけ」は親子代々にわたって継承されていくものですから、私たちの社会を決定づける強い要因となっています。政治体制についての議論も、この問題を無視することはできません。このことは困難な課題ではありますが、自分自身が抱える問題と私たちの社会全体との問題をつなぐ手がかりにもなり得る挑戦でもあります。まずは、「無責任な純粋さ」と「生命あるものを死へと変貌させる情熱」とが結びついた歴史の事実を自分の問題としてどのように考え得るか、その観点をつかむために上記の本を読んでいきたいと思っています。
小野坂
7年前の春にこの世を去った孤高の天才 #プリンス #CROSSBEAT
先日世田谷区のお客様より、映画や音楽などサブカルチャーの本を大量にお譲りいただきました。
誠にありがとうございました!(画像はお譲りいただいた品のごく一部です)
その中に、私に多大な影響を与えたスターの名前を見つけました。
プリンスです
今日は彼についてのブログを書きたいと思います。
※画像の本は
「CROSSBEAT Special Edition プリンス (シンコー・ミュージックMOOK)」と
「CROSSBEAT Presents プリンス・ファミリー大全 (シンコー・ミュージックMOOK)」です。
近々当店で出品予定です!
☆ ☆ ☆
本名プリンス・ロジャー・ネルソン。
2016年の春、彼は57歳という若さでこの世を去りました。
プリンスがどういうミュージシャンだったのか、彼の魅力を言葉で説明するのはなかなか難しいです。
セクシーで力強く、過剰なエロス全開で情熱的なパフォーマンス。
粘っこくて下品だけどどこか気品もあって高貴で、華奢で中性的だけど男臭さもムンムンに溢れていて。
ロックやポップやファンク、ジャズやソウルにラテンなど、音楽の垣根を軽々と飛び越え、ボーカルもギターも最高に素晴らしい天才であり、奇才。
奔放でむき出しなステージでの姿とは裏腹に、普段はシャイな秘密主義でインタビュー嫌いだったとも言われています。
私がプリンスの音楽に出会った最初のきっかけは、たしか10代のときにテレビで偶然目にした「musicology」のMVだったと思います。
開始5秒で身体が勝手に動いちゃうファンキーなビートと、お目目キラキラなプリンスのかっこよさ、MVのおしゃれな世界観に一気に引き込まれ、「なにこれ…!!」と目が釘付けになったことを覚えております。
そこからアルバム「musicology」を聴き始め、新しめな曲からだんだん過去の曲も遡って聴くようになりました。
ド変態なヌードのジャケットで有名な「Lovesexy」がプリンスのアルバムだったと知ったときは結構ショックを受けました。すごいとこに手を出しちゃったぞ自分…でももう引き返せない…!みたいな気持ちでした(笑)
プリンスはめちゃくちゃ多作な人だったので、私は全ての作品を網羅できているわけではありませんし、「プリンスの名曲はコレだ!」というのは簡単に選びにくいのですが、個人的に大好きで、プリンスを象徴する曲だなと思うのは「I Would Die 4 U」です。
SF感のある曲調というか、ビートも構成もシンプルなのにプリンスのボーカルがドラマティックで大好きです。間奏の呻き声はつい真似したくなります(笑)
この曲の、“君には絶対に理解できない何かだ”というフレーズが、私は好きです。
まさにプリンスの存在そのものという気がします。
また、「Controversy」という曲で彼は、
“自分は黒人なのか白人なのか?
ストレートなのかゲイなのか?”
“みんなは俺を淫らだという
俺の願いはみんなが裸になること
黒人白人関係なくなること
ルールがなくなること”
と歌っています。
現代より人種やジェンダーに対する固定観念とか差別意識が強かったであろう80年代に、メジャーレーベルでこういう曲をやっていたのがすごいと思うのです。
この人は男なのか女なのか?
どっちが好きなの?
などと論じたがる人はいつの時代にもいるでしょう。
自分の理解の範疇を超えた存在を恐れて「見たくもない」と切り捨てる人もいます。
プリンスが登場した当時も今も、彼に拒否反応を示す人はたくさんいるのだと思います。
実際、81年にローリングストーンズのライブの前座をやった時に、トレンチコートと黒ビキニ姿で現れた彼に観客は罵声とブーイングを浴びせ、ステージに物を投げ込んで演奏を妨害したそうです。
しかしどんなにアンチが騒ごうとも、自分のスタイルを曲げず徹底的に自分らしい生き方にこだわり戦い抜いたプリンス。
そういう彼の姿に大きな勇気をもらい励まされた人が、世界中にたくさんいるのではないかと思います。私もその中の一人です。
10代の頃、自分が気持ち悪くて嫌で嫌で仕方なかったのですが、プリンスをかっこいいと思える自分のセンスには強い自信を持てました。
周りにプリンス聴いてる高校生なんていなかったので、
みんなが知らないものを私は知っているぞ😏
という変な優越感も持てました(笑)
7年前、プリンスの訃報を聞いたときは、あまりに突然すぎて、ショックというよりは信じられない気持ちのほうが強かったです。
プリンスのライブを一度も生で見ることが出来なかったことが本当に悔やまれます。
(でももし見れたとしても、興奮して頭が真っ白になっちゃって何も記憶に残せなかったかもしれませんが…笑)
亡くなった当時もいろんな媒体で特集が組まれたりしていたとは思いますが、その時はあまりそういうのを読む気がしなかったので、今回7年経って初めてプリンスの追悼特集の雑誌に目を通しました。
いろんなミュージシャンのプリンスへの追悼コメントだったり、初めて知るエピソード(マイケル・ジャクソンとプリンスが卓球対決をしたことがあるとか!笑)もいっぱい知ることが出来てとても面白かったです。
改めてプリンスの偉大さを知ることになったし、もっといろんな文献を読んでみたくなりました。
この世から去ってもなお、強烈な光を放ち続ける孤高の天才プリンス。
プリンス未体験の方は是非一度、あらゆる先入観を捨て去って、彼の世界に触れてみて欲しいなと思います。
新しい扉が開かれるかも……!!
にわかファンの駄文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。
ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!
ポエ
千葉県松戸市へ出張買取に伺いました
先日は千葉県松戸市へ出張買取に伺いました。
解体予定のお宅のご整理で、集められていた昭和の少女漫画と旦那さんのお持物であったレコード、音楽DVDなどを中心に、その他にもプレステ、スーパーファミコンなどのゲーム類、バービー人形など様々なものをお譲りいただきました。
またお部屋のお片付けもしなくてはならないとのことで、その場でご相談いただきお見積りの概算をご提案させていただきました。
出張買取のご依頼を受け、そのままお部屋のお片付けも、ということは以前に何度もご依頼を受けております。一般廃棄物処理業者の方と一緒に行うため、本などの紙類だけでなく家具、家電に関してもお引き受け可能でございます。ぜひそういった形でもご依頼頂けると幸いです。
レコードは高田渡さんなど良き時代の日本のフォークや60~70年代の洋楽ロック、特にエルヴィス・プレスリーの大ファンだったようです。エルヴィス、カーペンターズ、また初期のビートルズも、ロックが複雑になっていく前のシンプルな心地よさが感じられていいものですよね。
そんな音楽好きのご主人と、奥様の方は少女漫画好きという、なんだか素敵なご夫婦だと思いました。『エロイカより愛をこめて』『王家の紋章』などの名作もたくさんお譲りいただきました。
その中でも今回は内田善美さんの作品が多かったため、ご紹介させていただきます。
『草迷宮』『星の時計のLiddell』は自分も名前は聞いたことがありました。
漫画だからと侮れない細密で美しい表紙でございます。
それでいてどこか怖さのようなものも感じます。
いつかどこかで、ホラー映画と美女は相性が良いというようなことを聞いたことがあります。恐怖と美しさというのはどこか似ているのかもしれません。
女性的な怖さみたいなものを想像させる絵でございます。
内田善美さんは1970~80年代に活躍された美大出身の漫画家だそうですが
その時代の美大出身の少女漫画家たちはヨーロッパ絵画や挿絵などの影響を受けており、彼女もラファエル前派やバーン=ジョーンズを好んだのだそうです。
たしかに西洋的な画風ですよね。
当時は西洋的なものの影響は音楽がまさにそうですが、少女漫画にも色濃く出ているのですね。
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小野