買取事例

CD・DVDもお任せください!!

本日もくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

 

先日は大田区田園調布に出張買取に伺いました。

コミックセット、マンガ本、一般書、実用書、CD・DVDなどをお譲りいただきました。

誠にありがとうございました。

CDベスト盤が多くありました。

最近はベスト盤というもの自体があまりリリースされていない気がしています。

CD自体売れていないということはもちろんあるのでしょうが、誰でも容易にプレイリストを作成・公開できるようになった現在ではベスト盤の需要がないのかもしれません。

個人的にはベスト盤のブックレットとか解説が結構好きなので寂しい気持ちがあります。

リマスタリングされたりミックスが変われば聴き比べる楽しみもありますし…。

ちょっと変わったものを見つけました。

無印良品のBGM集です。

どうやら店内BGM集ではなく、曰く「時代を超えて暮らしに息づく世界の音楽」を現地のミュージシャンが現地でレコーディングしたという民俗音楽集に近いもののようです。

この手の音楽はディグるのが難しい印象でして、このシリーズは取っ掛かりとして良さそうですね。

ショーンオブザデッド!!!

「ミッション: インポッシブル」シリーズでお馴染みのサイモン・ペッグ主演・脚本作です。

「人間に制御されるゾンビ」が英国的な冗談というか暗喩だと勝手に思ってるんですが、どうなんでしょうか…。

 

 

くまねこ堂では古書はもちろんCD・DVD、ゲームソフト、美術品や骨董品、古道具など幅広いジャンルを取り扱っております。

さまざまな品物を同時に査定できますので、ご整理ご処分でお悩みのお客様は是非お電話やLINE、メールにてお気軽にご連絡下さいませ!

スタッフ一同ご依頼を心よりお待ちしております。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

トリ

 

 

 


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『茶道具の真髄 ―利休形― 利休のデザイン』(世界文化社、2009年)が入荷しました

 

 今年2022年は千利休生誕500年の年に当たるとのことで、少しグーグルで検索しただけでも各地で特別展が開かれています。僕自身は雑誌で知りましたが、この機会に千利休について学び直すのにもってこいのこちらの本の紹介になります。

千利休 

 

 まずはまえがきの引用から。

今なぜ千利休なのか
混迷の時代にあって人は原点回帰するという。
茶の道を志すものにとって千利休は原点である。
400年余の時空を超えて今も作られ、使われ続けている利休形の道具の数々。
その姿には茶の道の原点とともに道具のデザインの原点が映し出されている。

美術館 本

 10年以上前の書籍ですが、今もまだ、もしくは当時以上に混迷の時代だと言えるかもしれません。茶の道という日本人に自然に馴染む感性を学ぶことは、自分の美意識を見直す良い機会になるのではないかと思います。

 

 利休の人柄を表す場面として、映画「利休」の冒頭では利休のもとに秀吉が朝顔を見に来るシーンがあるそうです。利休は庭一面にある朝顔を、秀吉が来る直前に一輪を残し全て切り取らせ、その早朝の朝露を含んだ一輪を茶室にいけてもてなしました。普通であれば朝顔は庭で見せ、茶室は別の趣向を凝らすところです。しかしそれは過剰な表現だと、文字通りばっさりと捨て去り、最もシンプルな極限の方法を選んだのです。すべてをたった一輪の選び抜かれた花に代表させる、その決断が出来るところに利休の芸術家としての芯の強さを感じます。

 かなり大胆なことをやっているように感じますが、そこには彼の哲学が裏付けられているのだと思います。決して奇抜になろうとしたのではなく、考えに考えた末での行動だったのでしょう。利休のデザインは、形は単純で技巧は凝らしていないが、ささやかな変化で飽きのこない形です。ここでも過剰な表現を抑えるという哲学が感じられます。

彼の一貫した美意識が、残した作品の写真とその実用的な解説から、存分に感じられるかと思います。

 

 巻末には道具名の索引も載っています。興味のある方にとってはは、何かの折に詳しく調べやすくなっています。コレクターの方やお仕事で扱う方には、便利なことはもちろん、価値を裏付ける「底本」としてもお使いいただけるかと思います。

 

くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取も行っております。
ご処分をお考えの方、またご整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!

本日もお読みくださりありがとうございました。

オノ


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『新校本 宮澤賢治全集』全16巻+別巻、全19冊(筑摩書房、1996-2009年)が入荷しました #産業組合青年会 #菅田将暉

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

 文豪の作品は、青空文庫にて無料で読めることは知られています。しかし、近年、完成された作品だけではなく、そこへいたる過程の草稿などの検討、校訂をふまえた新装版の全集が刊行されるケースがあります。たとえば、次の全集が著名な例ですね。

宮澤賢治

 

『新校本 宮澤賢治全集』全16巻+別巻、全19冊(筑摩書房、1996-2009年)です。筑摩書房公式サイトによりますと、同全集は「たえざる変化・解体・転生を特徴とする賢治作品の、多くの初期形や先駆形を『本文』として掲出し、推敲異文のすべてを『校異』に記録」するという編集に加え、旧シリーズの「『校本全集』刊行後に発見された新資料(童話の原稿2枚、書簡など)をすべて追補」するものとなっています。

 宮澤賢治については、最近次のような発表がありました。門井慶喜『銀河鉄道の父』(講談社、2017年)を原作とする、映画『銀河鉄道の父』が2023年に公開されるというアナウンスがありました。原作主人公の宮沢賢治の父・政次郎を演じるのは、役所広司さん、賢治役は菅田将暉さんとのことです。

※菅田将暉、宮沢賢治役に「身が引き締まる思い」 直木賞受賞作品が映画化(0テレNEWS、2022年9月19日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e19999fed5376aee18d270826760019f1f59116

 宮澤賢治については、近年、文学研究にとどまらず、彼の協同組合思想が着目されています(※)。農民運動と作品との関係性など、宮澤賢治を可能な限り総体的に理解しようという試みは注目に値します。

※たとえば、中嶋信「宮澤賢治の協同組合構想」『国際学研究(関西学院大学)』第6巻第2号(2017年3月)7-15頁。

産業組合青年会
▲第3巻に「産業組合青年会」という詩が収録されています。

 こうした宮澤賢治リバイバルから目が離せませんね。

小野坂


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明治・大正・昭和の文豪による書籍を沢山お譲りいただきました📚

 

いつもくまねこ堂のブログをご覧いただきましてありがとうございます!

 

先日は後見人の方から蔵書の買い取り・片付けのご相談があり、中央区日本橋茅場町に伺いました。
倉庫代わりに使われていたお部屋一室丸ごと買い取り・整理・片付けのご依頼で、
古本については全て引き取りのお約束の元に色々と進めさせていただきました。

 

 

別冊太陽、別冊宝島、山川方夫全集、宮沢賢治全集、安部公房全集、阿部昭全集、詩集、絵本等様々な書籍をお譲りいただきました。
誠にありがとうございます!
明治・大正・昭和の文豪の著書が多く、純文学、自己啓発書、鉄道に関する書籍、猫ちゃんに関する書籍等、大判新書文庫と種類も大きさも様々なラインナップでした♪

殆どの書籍を新刊書店で購入されていたようで、帯付きのまま書店カバーをかけ保管していた様子でした。

 

夏目漱石、芥川龍之介、太宰治、宮脇俊三、石川啄木、松本清張などなど著名な作家の著書の数々も。
夏目漱石関連だと、本人の著書やムック本以外にも、漱石の次男・夏目伸六氏の随筆や、漱石の孫・夏目 房之介氏の著書等もありました。
元オーナー様の深い関心が見受けられます。

 

 

来年2023年は宮沢賢治没後90年。宮沢賢治氏の父・宮沢政次郎を主人公とする第158回直木賞受賞作『銀河鉄道の父』(門井慶喜 著)が役所広司さん主演で映画化され、GWに公開予定だそうです。
もちろん舞台は岩手県花巻市。イーハトーヴの里ですね。

秋になるとグスコーブドリの伝記を読みたくなります。
小学校何年生かの国語で習った教材だったと思いますが、初めて結末を知ったときのショックというか、こみ上げてくる感情や衝撃は今でも忘れられません。

子どもの頃に読んだ作品を大人になってから読み返してみるのも面白いものですよね。
文豪の名作たちを、読書の秋にいかがでしょうか🍂

 

さて、前述しましたように今回お譲りいただいた書籍は殆どが書店カバーのかかった状態でした。
ご自身で一冊ずつ売却されたり、大手古本買取店に持ち込む際など、一冊一冊カバーを外す作業だけでも大変な労力ですよね。。。
くまねこ堂は見積もりと同時並行でスタッフがカバーを外していきますのでご安心ください!🙌

本棚を処分したいけど大きすぎて一人で持ち出せない😫とお困りだったり、
引っ越しの日程が迫っているけど撤去をどうしよう・・・?とお悩みのものがございましたら、まずはお気軽にご相談下さい🤗✨
ご相談いただければ、できる限りのご提案をさせていただきます!🙌✨

 

くまねこ堂では、古本やDVD/CDの他にも、古道具や骨董品、アクセサリー、切手、万年筆、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取だけではなく、不要になった大型家具の処分のお手伝いや引き取りも行っております。
ご処分をお考えの際、また、ご遺品整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。お電話またはメールフォーム、LINEにて、まずはお気軽にお問い合わせ下さい!スタッフ一同心よりお待ちしております!

 

お客様からの感想やレビューなどいただけましたらスタッフも大変嬉しいです。
また、くまねこ堂ブログは人気ブログランキングにも参加しております。高評価、goodボタン日々の励みとなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

ナカ

 


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歩む、思いをはせるー「道 日本の名随筆90」のご紹介ー

やわらかな雨の中、静かに季節は移ろっていくようです。
皆さまお身体に気を付けてお過ごしくださいね。

最近は涼しくて、散歩が心地よいです。誰かと一緒でも一人でも、目的を持ってではなくあてどなく歩くことは、私を知らない世界に連れていってくれます。マップアプリなど起動しては興がありません。いつも曲らない角で曲がることで、すぐにでも迷子になってしまう、その時にこそ世界がまだ私に微笑みかけてくれるような可能性を感じることができるから。

そんな秋の散歩に深みを与えてくれるような本を今日はご紹介します。
藤原新也編「道 日本の名随筆90」(作品社・1990年)です。

随筆 作品社

「日本の名随筆」は、全200巻に及ぶ作品社のシリーズです。1巻に30ほどの随筆がテーマ別で集められています。
今回紹介します「道 日本の名随筆90」には、井上靖・里見弴・澁澤龍彦・永井荷風・馬場あき子・三好達治などの随筆が収められています。

そのうち、内田百閒「凸凹道」を見てみます。
とても短いものです。友達を見送りに行こうとしたが、お巡りに自転車の無灯運転を疑われて引き止められている間に、友達は行ってしまった。そしてそのままその友達は帰省先で亡くなってしまった。その時のことが書かれています。
この随筆になぜ私は心惹かれたのか。多分抑制された書きぶりから滲み出る、言葉にできない思いを感じたからでしょう。この3ページほどに収まってしまう随筆で、最も大きな幅を占めているのは、お巡りとのやり取りです。切々と悲しみを訴えるのでもなく、自分に職務質問してきたお巡りへの恨みでもなく、お巡りとの会話なのです。

  「何故無灯で自転車に乗るか」
  「乗つて居りません」
  「嘘をつくな。無灯で乗つて来て、交番の近くで降りても駄目だぞ」
  「提灯が消えたから降りました」
  「消えたら何故ともさぬか」
  「燐寸を持つてゐなかつたので、それから歩いて来ました」
  「嘘をつけ、さう云ふ怪しからん奴が多いので困る。一寸こつちへ這入れ」
  「提灯はたつた今消えたばかりです。汽車の見送りに行くのですから、どうか  通してくだ
   さい」
  「今消えたと云ふ証拠があるか」
  「提灯にさはつて見て下さい、まだ温かいでせう」(「道 日本の名随筆90」  25ページ)

でもこの随筆の終わりに少しだけ、彼の気持ちが書かれています。

  林とは子供の時からの随分長い友達だつたから、その時の訣別を妨げた凸凹道  のいきさつ
  を、今でも思ひ出す。(同、26ページ)

お巡りとの問答を覚えている、一語一句記憶している、それを書くことで、辛さ切なさを直接に言葉にするよりも、彼の感情が伝わってくる。直接的な言葉は一切用いないのに、この随筆の末尾が深く重くなる。素晴らしい。
文章としての巧みさに感動する一方で、親友を失った彼の思いが波のように寄せてくるのを感じる。

あなたが今日歩いているその道も、誰かにとっては何か思いがつのるような道なのかもしれない。他の人にとっては何でもない通路でも、内田百閒にとってのその凸凹道は、親友との永遠の別れができなかったという悔やみが染み込んだものであったように。道というどこか固定した場所ではないところ、人が不安定になるところでは、今日も、ボーイミーツガールが起き、親子が仲直りし、友達同士が喧嘩し、恋人が別れているのでしょう。今歩いている道について、そんなことをふと思ってみるのもよいかもしれません。あなたの世界を深めてくれるはずです。

 

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本日もお読みくださりありがとうございました。

コトー

以下参考にしたもの
「道 日本の名随筆90」作品社紹介サイト:https://sakuhinsha.com/essay/9907.html

 


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萩原延壽『東郷茂徳――伝記と解説』普及版(原書房、1994年)、佐藤元英・黒沢文貴編『GHQ歴史課陳述録――終戦史資料』下巻(原書房、2002年)

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

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 今回の投稿は、最近入荷した本と、現在出品中の関連書籍の紹介になります。分野は日本外交史です。

東郷茂徳

 上掲の画像は、萩原延壽『東郷茂徳――伝記と解説』普及版(原書房、1994年)です。著者の萩原氏は、『遠い崖――アーネスト・サトウ日記抄』や『陸奥宗光』といった、明治期の日本外交史、日英関係史を扱った評伝などで知られる著名な歴史家です。また、1930年代の日独関係の研究とあわせ、東郷茂徳の評伝という業績もあります。東郷は、1930年代に外務省欧亜局長、駐独大使、駐ソ大使を歴任し、アジア・太平洋戦争(1941-45年)の開戦時と終戦時の両方で外相の地位にあった、日本外交史上の重要人物の一人です。

 『東郷茂徳――伝記と解説』の特色は、萩原氏の驚くべき史料調査により、東郷本人の回想録『時代の一面』ではさすがに多く語られてはいない、在外勤務時代(大正時代、東郷30代のころ)の恋愛事情が書き込まれていることです。私生活を史料に基づいて語っているわけですから、国家間の外交問題、すなわち公務についても充実の内容であることが予想されます。実際、外交文書を引用し解説している部分では、手書きの欄外記の筆者を特定している部分など、日本外交史の研究水準の高さがうかがえます。

 なお、くまねこ堂では、下記の本をAmazonにて出品しています。

終戦史資料

 佐藤元英・黒沢文貴編『GHQ歴史課陳述録――終戦史資料』下巻(原書房、2002年)(https://amzn.to/3Sczy4m)です。上巻には東郷の項目がありますが、下巻に収録された陸海軍関係者の項目にも、終戦時の外相の東郷について言及があります。ご購入のほど、ご検討のほどよろしくお願いします。

小野坂


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松浦有成『水石入門マニュアル 一石一魂』(近代出版、2004年)が入荷しました

 

 こちらの【わくわく作業シリーズ】は主に盆栽に力を入れているムック本ですが、今回は最近入荷したこちらの『水石入門マニュアル』をご紹介します。

 水石入門マニュアル

「この一冊で水石愛好の総てがわかる!」と銘打っているだけあり、読んでみると水石を鑑賞するポイント、例えば水石の5大要素など鑑賞の手がかりを得られます。それだけでも物の見方、愛で方が変わってくるように感じました。

 

 特に僕が面白いと感じたのは水石を置く水盤についてです。浅めの器に粒度を整えた綺麗な砂を入れたもので、この上に水石を据えます。据え方の良い例と悪い例が載っていて、全く知識のない僕でもその良し悪しを感じることが出来る分かりやすい写真です。水盤と水石のバランスによる総合美、調和が大事だと書いてあります。


 

 ちなみにこの「ワクワク作業シリーズ」第2弾は『盆栽入門マニュアル』でした。盆栽も同じように鉢の選び方で大きく印象が変わるかと思います。盆栽自体が生き生きと見えるかには、やはりこちらも総合的な調和という感覚が大事になるのでしょう。こういった水石でも盆栽でも、一つ自然を生活に取り入れることで、部屋自体も当然その調和の一部となり、豊かな生活の良い循環になりそうですね。

 

 最後に著者の松浦有成さんのあいさつを引用いたします。

盆栽と水石。その姿を変化させる植物と静的な石を対象とした両者の世界は、相反するようでいて、あたかも車の両輪のようにその境地を高めてきました。生きている盆栽が四季折々の彩を見せるのは当然のことですが、水石もまた、四季の移ろいをはじめさまざまな風趣を感得できます。対象を通じて山水の風情に遊び、壮大な宇宙をも垣間見ることが出来るのです。

 

 

 はじめ水石は盆栽に比べて管理は楽かと思いました。しかし石という静物がゆえに、それをある種生かしておくというのは奥深く、また手のかけがいがあるのかなと思いました。厖大な情報やコンテンツが存在する現代において、自然、あるいは宇宙までも感じられる瞬間はどれほどあるでしょうか。

気になられた方はぜひこちらの本について調べてみてください。入門者にはもちろん十分な情報量がありますが、コレクターやプロの方にもカタログや底本として価値があるかと存じます。

 

 

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小野

 


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李恢成、水野直樹編『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』(岩波書店、1991年)が入荷しました #学術書 #歴史学 #革命

 最近入荷した、韓国・朝鮮近代史、中国近代史の書籍を紹介していきます。今回は以下の書籍を取り上げます。

李恢成、水野直樹編『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』(岩波書店、1991年)

 李恢成、水野直樹編『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』(岩波書店、1991年)です。本書は岩波書店公式サイト(https://www.iwanami.co.jp/book/b261582.html)によりますと、「朝鮮人革命家キム・サンの波瀾に満ちた半生を語る『アリランの歌』成立の真相と著者二人の実像に迫るドキュメント・評論を集成」した内容となっています。引用中の「著者二人」とは、すなわち副題のキム・サン(張志楽)とニム・ウェールズ(ヘレン・フォスター・スノー)です。『アリランの歌』が扱っているのは、主に1920~30年代の出来事にあたります。

 前回の投稿で石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)を紹介した際は(※)、中国共産党草創期の活動において、日・英の翻訳文献を用いたマルクス主義の受容やロシア革命の知識の摂取が存在したことにふれました。こうした共産主義運動の国際性は、上記に限らず、様々な形をとって歴史に刻まれています。今回紹介する、『アリランの歌』という作品についての研究書、『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』は、朝鮮人革命家キム・サンの足跡を、アメリカ人ジャーナリストのニム・ウェールズが描いたという、両者の中国共産党を介した交流を詳細に検討するものとなっています。

(※)石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)が入荷しました(くまねこ堂古書ブログ、2022年10月14日)
https://www.kumanekodou.com/31316/

 ただし、『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』は、そもそも『アリランの歌』の内容や、張志楽という本名を持つ朝鮮人革命家キム・サンとはいかなる人物なのか、そして第一次世界大戦後から日中戦争期にかけての東アジア民族運動・共産主義運動はどういった経緯をたどったのか、といった諸点の予備知識を持っていないと、読み進めるのが難しいかもしれません。まずもって、朝鮮人革命家とアメリカ人ジャーナリストが中国で出会う、というのがどういう状況なのか、と困惑してしまうことも想像されます。

 このブログの投稿でそれら予備知識を過不足なくまとめることは困難ですが、読書リストという形でいくつか列記し、後日の投稿を期したいと考えています。

 まず、ニム・ウェールズ、キム・サン『アリランの歌―ある朝鮮人革命家の生涯』松本いを子訳(岩波書店、1987年)を読むべきなのは、いうまでもありません。この訳書には、韓国・朝鮮史研究の大家、梶村秀樹による解説が付されています。あわせて、梶村秀樹の講演録に基づく、『排外主義克服のための朝鮮史』(平凡社、2014年)において、朝鮮独立運動史の概要をおさえ、その中でキム・サンがどのように登場するのか確認するのも一手でしょう。また、キム・サンについては、沈志華『最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮』上巻、朱建栄訳(岩波書店、2016年)でも言及があります。

排外主義克服のための朝鮮史

 これら書籍を読んで、再度『「アリランの歌」覚書―キム・サンとニム・ウェールズ』に取り組みたいと思っています。

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小野坂


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驚嘆しようぜ!-開高健「オーパ!」のご紹介ー

秋の深まりを感じる今日この頃です。

オーパ!
どこかで思い出す度、何の言葉だっけとなっては忘れていました。そうだそうだ、この本だ。
当店に入荷いたしましたのでご紹介します。開高健「オーパ!」(集英社)
どどん。

オーパ! 開高健

ピラニア!!歯がなんて鋭い!ああ、こんな生き物がどこかにはいて、今日もうごめいているんですね。

「オーパ!」は、作家開高健がブラジルを旅した記録を、写真と共に綴ったノンフィクションです(写真は高橋曻)。釣りだけでなく、その土地の人々や文化についても書いています。
題名にもなっている「オーパ!」は、ブラジルで驚いたり感嘆したりする時発せられる言葉とのこと。この本には、開高がブラジルの旅で「オーパ!」したことが詰まっているのです。
冒頭には開高の以下の言葉があります。
  何かの事情があって野外へ出られない人、
  海外へいけない人、
  鳥獣虫魚の話の好きな人、
  人間や議論に絶望した人、
  雨の日の釣師…
  すべて
  書斎にいるときの私に
  似た人たちのために
種々の自粛が言われる今、加えて世界がどうしようもないことをまざまざと見せつけられるような出来事が重なり続ける今、この中に含まれない人などいるのでしょうか。
カバー写真でもわかるように、溢れる生命の躍動がこの本にはあります。そしてその土地の空気感が閉じ込められています。
そして開高の文章。彼の心的世界の深さからくる言葉は、読む人をどきどきさせる。でも茶目っ気があって、きゅんとしちゃう。そしてこんなに世界は眩しかったのかと気づかされる。

雨続きで部屋に引き籠りがち、鬱々としがちな最近ですが、この本を読んで「オーパ!」してみませんか。世界にはまだまだあなたの見ていないものがたくさんある。絶望するには100億年早いのです。驚嘆しましょう!そして生きていきましょう!

 

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本日もお読みくださりありがとうございました。

コトー

以下参考にしたもの
集英社・開高健「オーパ!」完全復刻版紹介サイト:http://gakugei.shueisha.co.jp/opa/index.html


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石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)が入荷しました

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。先日の投稿に引き続き、最近入荷した歴史学の研究書を紹介していきます。今回は近代中国史になります。

石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)

 石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)です。著者の石川氏は京都大学教授であり、中国共産党史を専門としています。近著に『中国共産党、その百年』(筑摩選書、2021年)があります。 今回紹介する『中国共産党成立史』は、岩波書店公式サイトによりますと、「日本社会主義思潮の流入,ソビエト・ロシアからの積極的働きかけ,五四運動後に社会変革を指向した中国知識人の結集,の3点からあますことなく分析」した研究であり、中国共産党の成立過程(1921年成立)を「中国一国史の枠組みから解き放つ」内容となってます。

 そのため、「本研究は,日本近代史や欧米社会主義史に関心を持つ人にも興味深いだろう」というわけですが、まったくもってその通りです。しかも、著者の議論の前提になっているのは、「徹底的に内外文献を相互対照,比較」したからこそ明らかとなった事実関係です。こうした定評のある研究書が入荷することは珍しいので、前回に引き続いてブログで紹介しています。

※ここまでの引用は、岩波書店公式サイトより
https://www.iwanami.co.jp/book/b265117.html

 とりわけ本書で興味深い部分は、中国共産党の成立にあたって、「社会主義」、「共産主義」といったカール・マルクス由来の思想をどのように取り入れたのか、そして、共産主義革命となった1917年のロシア10月革命の経緯をどのように知ったのか、その後の国際的な共産主義運動と中国共産党の政治思想はどのような影響関係にあるのか。といった読者の素朴な疑問に答えているかのような箇所です。このことは、一定の政治思想を共有した組織である政党の成立を理解するためには不可欠なはずですが、本書の登場までよくわからなかったことなのです。というのも、ドイツ語文献、あるいはロシア語文献を中国人運動家が必ずしも直接に入手して読んでいたわけではないからです。原典と(やがて共産主義者となる)中国人運動家とを媒介したのは何だったのか、ということこそ、本書で明らかになったことなのです。

石川禎浩『中国共産党成立史』(岩波書店、2001年)
▲『中国共産党成立史』76頁。イギリス(左)と中国(右)両国の共産党機関誌の画像

 こうした事実関係の解明がまさしく「中国一国史の枠組みから解き放つ」ことであり、「日本近代史や欧米社会主義史に関心を持つ人」にとっても重要な本なのです。こういってしまうと何が媒介したのか、というのは、もう答えてしまったような感じがしますが、1910年代末からは日本語文献を介して、1920年代半ばからはイギリスやアメリカの英語文献を介して、中国の共産主義者はマルクス主義やロシア革命について学んでいきました。こうした日本から英米へという文献の輸入先の転換が、中国共産党の歴史にとってどのような意味を持っていたのでしょうか。このことについての著者の分析は、本書の見どころの一つです(本書75-80頁)。

 このような中国共産党の成立や初期の活動に関わる経緯は、まぎれもなく国際関係史といってよいでしょう。

 引き続き、こうした形で入荷した書籍について紹介していければと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。

小野坂


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