「幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア」 /東京都北区で2件、ビジネス書、実用書、学習参考書、攻略本、単行本、ゲームソフト、Xbox360、PS2、聖☆おにいさん、青の祓魔師などお譲り頂きました。
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こちらの本を読みました。
「幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア(14歳の世渡り術)」
田中優/河出書房新社
著者の田中優さんは、地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、
環境、経済、平和などの様々なNGO活動に関わっていらっしゃるかたです。
先日このかたの講演会にくまきちと聞きに行きまして非常に感銘を受け、
この本を読んでみました。
「14歳の世渡り術」シリーズなので中学生向けにわかりやすく書かれていますが、
内容は大変深いものです。
ボランティアのありかただけではなく、人との関わりかた、社会の仕組みなど、
大切なことがたくさん書かれていると思います、
子供大人を問わずぜひご一読いただきたい本です。
印象深いくだりはたくさんあったのですが、
ごく一部ですがこちらをご紹介させていただきたいと思います。
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(抜粋)
<役割がないと生きていけない>
こんなこともあった。あるお年寄りが生活保護を受けていた。
一般的には生活保護を受けている人は肩身が狭い思いをしているものだ。
そのおじいちゃんもそうだった。「国の世話になってる」といつも感じていた。
あるときそのおじいちゃんが、砂場にガラスビンのかけらが落ちているのを見つけたんだ。
誰かがうっぷんばらしに割ったのかもしれない。でもそのままにしていたら、
子どもが砂場遊びしているときに手を切っちゃうかもしれない。
だからそのおじいちゃんはわざわざコシキを買ってきて、
砂の中からガラスビンのかけらを拾ったんだ。
そこでよく子供を遊ばせているお母さんが感謝して、そのおじいちゃんにお礼を言った。
自分を「福祉の厄介になっている者」と引け目を感じているおじいちゃんだったから、
それがことさら嬉しかったんだ。
それからというもの、おじいちゃんは砂場をいつもきれいにしてくれるようになった。
ついでに公園そのものまできれいに掃除してくれた。
だけど、市役所にはいろんな苦情が来る。
「お前たち、税金で仕事してるくせにおじいちゃんに掃除させるなよ、
お前たちがサボるために税金払ってるんじゃないんだぞ」って苦情が来た。
それで担当のケースワーカーに連絡があって、「おじいちゃんに公園の掃除をやめさせろ」
って言われたんだ。それでケースワーカーはおじいちゃんに話した。
「○○さん、公園の掃除はしなくていいのよ、ちゃんと掃除をする人を雇っているから。
○○さんは今まで頑張ってきたんだから、ゆっくり暮らせば」と。
人は自分の役割がないと生きていけないものだ。
おじいちゃんは、その後しばらくして亡くなってしまった。
誰かの役に立っていると思えたり、役割があるおかげで人は生かされている。
おじいちゃんはやっぱり公園を掃除して、近所の人たちから感謝されたかったんだと思う。
このケースワーカーの女性が、もし自分でボランティアで掃除を代わってあげたとしても
同じことになっていただろう。
どうしたらいいだろう?
<「いい子」を捨てる>
ボランティアは自分のためじゃなくて、相手のためにするものでなくちゃいけない。
このとき、どうすべきだったんだろうか。もちろん答えなんてないし、
このケースワーカーのしたことだって責められない。
でもぼくだったら闘ったと思う。このおじいちゃんの気持ちに立ったら、
役割を取り上げられたらつらいだろう。なんとか市役所で正式に雇ってもらうか、
もしくはおじいちゃんの生きがいとして続けられるようにしたと思う。
ボランティアは相手の気持ちに立つから、場合によっては闘わなければならない時もある。
「いい子」でいるだけではいられなくなるのだ。そんな場面に出くわしたとき、
どうするのかも自分自身の修行だ。自分の「いい子」という評価を大事にするのか、
「いい子」という評価を捨ててでも相手の立場に立つのか。
ぼく自身は迷うことなく相手の立場に立つ。と言っても相手を甘やかしてはいけない。
よく考えて、自分なりの立ち位置を決めていくんだ。それはボランティア活動の意味を深めていく
大切なチャンスでもあるんだ。
最初は自分のためだった。それが相手の立場に立つボランティアとなり、
やがては自分自身の態度を決めていくきっかけになっていく。
そうしてボランティア活動をした人は、より深く考える人に育っていく。
(抜粋)
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様々なことを考えさせられる内容だと思います。
「誰かの役に立っていると思えたり、役割があるおかげで人は生かされている」
「自分の「いい子」という評価を大事にするのか、「いい子」という評価を捨ててでも
相手の立場に立つのか。」
「ぼく自身は迷うことなく相手の立場に立つ。と言っても相手を甘やかしてはいけない。」
ボランティア活動に限らず、普段の実生活でも、胸に突き刺さる言葉です。
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