ジェラルディン・ファーラーの「カルメン」
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昨日は臨時でお休みをいただき、
久しぶりに家で一人でのんびり映画鑑賞をいたしました。
観た映画はこちらです。
「カルメン」1915年アメリカ作品/サイレント映画
セシル・B ・デミル監督
カルメン:ジェラルディン・ファーラー
ドン・ホセ:ウォーレス・リード
主役のカルメンを演じたジェラルディン・ファーラー(1882~1967)はソプラノ歌手で、
当時エンリコ・カルーソー(テノール)らと並びアメリカのメトロポリタン歌劇場の
大スターとして君臨しておりました。
歌が素晴らしいだけではなく、芝居っ気もあり美貌にも恵まれていたファーラー。
当時のオペラ歌手といえば(失礼ながら)ドラム缶のような体型&演技が大根な人が
多かった時代ですから、大人気を博したのもうなずけます。
ジェラルディン・ファーラー(Geraldine Farrar )
ファーラーの歌声はCDやYouTubeで聴いたことがありましたが、
映像でその姿を見るのは初めてだったのでワクワクしながら見たのですが、
予想以上にスターオーラびんびんですごかったです!

やっぱり強烈に華のある人だったんだなあ・・・
ちなみにホセ役のウォーレス・リードは当時の映画界を代表する大人気スターなのに、
はっきりいってファーラーばかりが強烈でほとんど印象に残っていません・・

しかし・・・この映画のカルメンは、なんと
肉食系 なカルメンなんだ!∑(゜∀゜;;;)
感情が激しく自信満々で、冷酷で、そしてとにかく強そうです!
二の腕とか出してても、色気があるとかいうよりたくましく

、
女工とのケンカシーンでは唖然とするくらいすごい勢いでなぐり合ってます

こんな女性、日本人男性なら間違いなく引いてしまいそう・・・


しかし実はこのジェラルディン・ファラーという人、きれいな人でしたが、
相当強気でかんしゃく持ちだったことで知られておりまして、
彼女のそんな強烈な個性がそのまま役どころに反映されているのだろうなあ~
などと思いながら見ておりました(;^^)
かの大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニ (1867 – 1957)と争った際のエピソードも
非常に有名です。
(ちなみにトスカーニーニは激しいかんしゃく持ちで知られ、
鬼のようなリハーサルで演奏者たちに恐れられていた人物でございます

)
「トスカニーニは彼女(ファラー)の名声にまったく動ぜず、
ファラー自身もかんしゃく持ちだったので、 衝突は必然だった。
ファラーが主役を歌う『蝶々夫人』の再演をトスカニーニが準備したとき、
二人は初めてリハーサルで会った。(中略)
彼女は、トスカニーニから、主導権を握るのは彼であり、その逆ではない、
とはっきりと言われて驚いた。
「でも、私はスターよ」と彼女は逆らった。
トスカニーニは答えた。「マダム、スター(star)は天国にしかいません」。
(「帝国・メトロポリタン歌劇場」フィードーラー著より)
こちらの写真は、左:トスカニーニ、右:ファラー、中央:ガッティ=カサッツァ(メトの総支配人)。
休憩中の写真ということです、2人は何を話しているのでしょうね。

最初は衝突した2人でしたが、トスカニーニはファラーの舞台を高く評価するようになり、
やがて2人は愛人関係となります。
「ファラーはあくまでもアメリカ人のプリマ・ドンナだった。
彼のそれまでの愛人たちはみなイタリア人で、
トスカニーニが妻と家族に一生を縛られることを理解していたのだが、ファラーは異なった。
彼女は、欲しいものをつねに手にしてきた。彼女が1906年にジュリエット役で
メトにデビューしたとき、ヨーロッパでスターダムにのし上がった彼女は、
テノールが自分より目立たないように要求できた。
その結果、契約中のカルーソがシーズン初日で歌わなかった夜は、
1906~07年のみである。
彼女は、専用の楽屋およびカンパニーとツアーする際の専用の鉄道車両を与えられた
唯一のメト歌手であった。
トスカニーニとの恋愛が六年目を迎えたファラーは、妻と別れなければ自分たちの関係は
終わりだ、とトスカニーニに宣告した。宗教と伝統により離婚を拒否するトスカニーニは、
ファラーをあまりにも愛していたため、二人の関係が終わったのち、
メトで彼女に顔を会わせることなど想像すらできなかった。
トスカニーニはニューヨークを去ろうと思うようになった。」
(「帝国・メトロポリタン歌劇場」フィードーラー著より)
そしてファラーとの失恋に打ちのめされたトスカニーニは、アメリカを去ることになります。
ちなみに映画「カルメン」が撮影された1915年当時のアメリカでは、
舞台で活躍している人が映画に出ることは格が下がる行為とみなされ、
舞台人たちは映画に出ることを敬遠していたそうです。
この映画「カルメン」は彼女の映画初出演作ですが、当時記者にこう尋ねられたそうです。
「この映画に出たことで、オペラ歌手としての地位に傷が付いたりするとは思いませんか?」
これに対し、ファラーは即答しました。
「興行成績を見なさい!」
映画に出た後も、オペラ歌手としての人気が落ちることはなく、
そればかりかその後映画女優としても成功をおさめたファラー。
いやはやすごいですね、強いですね(;^^)