山田五十鈴も高峰秀子も怖がった、大女優栗島すみ子 /千葉県浦安市で、専門書、学術書、パソコン本、技術書、画集、展覧会図録、美術書、CD、ゲームソフト、ニンテンドーDS、プレステ2、ゲームボーイ、スーパーファミコン、ニンテンドー64、外国コイン、外国切手などお譲り頂きました。
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「君美わしく 戦後日本映画女優賛」著:川本三郎/文藝春秋
という本を読みました。
戦後を中心に活躍した女優さんたちのインタビュー集です。
(高峰秀子、津島恵子、淡島千景、久我美子、八千草薫、岡田茉莉子、杉村春子、
山本富士子、前田通子、新珠三千代、高千穂ひづる、二木てるみ、山田五十鈴、
有馬稲子、司葉子、若尾文子、香川京子)
つい先ごろお亡くなりになった山田五十鈴さんの所を読んでいたら、
こんなくだりがあってへえ~と思いました。
成瀬巳喜男監督の「流れる」(昭和31年)で共演した女優、
栗島すみ子さんにまつわるお話です。
(栗島すみ子は日本映画黎明期の大女優で、お弟子さん13人(!)連れて
撮影所のなかを歩いていたそうです。)
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山田五十鈴:
ただひたすら怖かったです、栗島先生が。
あたしも田中(絹代)さんも怖くてしょうがないんですよ。
田中さんがとにかく尊敬するのは栗島さんでしょ。
朝、髪結いますでしょ、今みたいにかつらじゃなくて自毛で。
で、栗島先生が来ないうちにみんな髪結いさんに結ってもらおうと、
自然と朝が早くなる。田中さんが六時ころいらして、わたくしも負けじと五時ごろ行って。
杉村(春子)さんは、まあ舞台の大御所ですからちょっと遅くいらして。
高峰(秀子)さんは成城で近所ですから走ってきて、『あたし、先やってー』って。
それでみんなやってもらって、それぞれ部屋に帰ればいいのに
髪結いさんの部屋で車座になりましてね、朝ご飯をみんなで食べるの、
お弁当を持ってきて。そこへ栗島先生が入ってらっしゃるの。
『何してんのあんたたち』って。『ご飯どうしてここで食べるの?』
『いえ、あの、ちょっと、朝が早いもんですから』
『この頃の撮影ってそんなに早く来なくちゃなんないの』って」
(「君美わしく 戦後日本映画女優賛」より抜粋)
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山田五十鈴、杉村春子、田中絹代、高峰秀子という、
のちに大女優となる錚々たるメンバーがこんなに怖がっていた栗島すみ子とは、
いったいどんな人だったのかしらん? と印象に残っていたのですが、
そうしたら昨日ご紹介した「大正 および大正人」昭和53年3月号に、
偶然にもこの栗島すみ子×菊池寛の過去の対談が再掲載されていたので、
早速興味津々で読みました。
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菊池:フアンからのラヴ・レターも盛に来ますか。
栗島:参りますわ。
菊池:日に何通位来ます?
栗島:平均一日三十通――その位参ります。
菊池:一々返事を出すんですか。
栗島:出したくは思ひますけれど、とてもね。大抵は署名した絵葉書を送つて呉れと
云つてくるのですから、それには印刷した御礼状と絵葉書をお送りします。
菊池:中には心を動かされるやうな手紙もありますか。
栗島:ございませんわ。
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にべもねえっ!!∑( ̄ロ ̄|||)
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菊池:あなたに恋して自殺したなんて云ふやうな事件はありませんか。
栗島:何時でしたか私の絵葉書を抱いて投身したとかつて新聞に出て居りましたが
困りますよ実際ねえ、ほゝゝほ。
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キャーー今ならきっと
ネットで叩かれまくり発言!(σT∀T)σ
す、すごいわ・・・今ならたとえ大スターでも、
もっと殊勝な事を言わないと絶対批判されちゃいますよね
こんな公の場でも言いたいことが言えて、正直うらやましいかも・・
あと、こんなことが語られていてちょっとびっくりしました。
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菊池:嫌なことは?
栗島:嫌なのは、常設館(映画館)へ出て御挨拶をする時です。
菊池:あれはいけませんね、御挨拶と云ふ名も不愉快だな。
栗島:ほんとに嫌でございます。以前井上さんと「噫無情」の芝居で大阪へ参りました時、
無理に引張り出されまして、井上さんと東栄子さんと、私と三人でご挨拶に出ました、
その時なんか、お客の拍手と拍手の切れ目に、私もう一寸で泣き出しさうになりました位、
寂しくつて寂しくつてたまらない気が致しました。
役の扮装で舞台へ出るのは、何でもございませんけれど、
自分の意匠そのまゝで立つのは、たまりません。
此の頃ではもう会社の方でも無理にと云ふやうなこともございませんが、
もうほんとに御挨拶だけは、つくづく嫌でございます。
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今ではすっかり当たり前になっている舞台挨拶も、
当時はだいぶ様子が違っていたようですね
でも、簡単にお客さんに素顔を見せないからこそ、
簡単に手の届きそうな今の「スター」達とは異なる
「雲の上の大スター」という神秘的な存在が、
かつては成り立っていたのかもしれないなあと思います。
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今日は千葉県浦安市で、
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