アールヌーボーな刀装具(明治頃)です
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入荷品のご紹介です。
刀装具で、脇差(わきさし)の鍔(つば)なのですが、
模様が純和風ではない、異色な感じです
表面にも裏面にも、植物がモチーフの流麗な模様が入っています、
おしゃれですねえ
アールヌーボー調のデザインであることから察するに、
明治時代から大正時代ころの物と思われます。
刀装具ではありますが、もう実用的な物ではなくて
いかにも鑑賞して楽しむためという感じですね。
ところでアール・ヌーヴォー芸術運動は、
そもそも日本美術に大きな影響を受けて生まれたと言われています。
さて一体、日本美術の何に触発されたのかといいますと、
「アール・ヌーヴォーに影響を与えた 幕末・明治の金工」(緑青vol.3/マリア書房)
という本によれば、
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アール・ヌーボーの作品の特徴の一つは、モチーフに虫達が多く登場することである。
それは、クモ、蝶、クワガタ、トンボ、蜂、カゲロウ、蛾などである。
これらの虫達は従来のヨーロッパの美術工芸の世界で登場したことは
皆無と言っていいものである。
では日本の絵画や浮世絵に登場するかと言えば、それも殆どない。
では一体何に多く登場するのであろうか。
答えは刀装具である。
古来、武士達は刀の小道具であり装飾品でもある鍔、小柄、笄、目貫、縁頭などの
装飾のモチーフに虫たちをよく用いた。
常に命の危険にさらされる武士達はいろいろな虫達にあやかりたいと願っていた。
それが彼らの「お守り」でもあった。
(抜粋)
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そしてこういった日本の金工作品が、
万国博覧会の会場で展示されたり、日本美術商で売り買いされることにより、
アール・ヌーボー芸術運動の旗手たちの目に触れたのだろう、ということなんですね。
それがまた逆輸入されるかたちで、
日本でこうやってアールヌーボー調の刀の鍔が作られた、と。
なんだか面白いですね
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