東京国立博物館「博物館でお花見を」展&鈴木長吉について
カテゴリー/レジャー/くまねこ堂通信先日、東京国立博物館の「博物館でお花見を」展に行ってきました。
縄文時代から近代の美術品まで、大変多岐に渡る時代&ジャンルのものが
展示されておりますので、日本の美術史をざっとですが
一通り肌で感じることが出来て楽しいですね。
今はお花見にちなみ、桜にちなんだ名品が展示されていたり、
桜スタンプラリーがあったり、
あと博物館北側の庭園が公開されています!
こちらの庭園は、春の桜の季節&秋の紅葉の季節にしか公開されませんので、
ぜひセットで足をお運び下さいませ、とてもキレイですよ
色々印象に残る名品がありましたが、個人的には
鈴木長吉(すずき ちょうきち、1848-1919年)の鷲置物が見られたのが
嬉しかったです。こちらの作品です(白黒写真ですみません)。
鈴木長吉「鷲置物(重要文化財)」1893年(明治26年)/東京国立博物館蔵
銅・金でできていて、高さは45.5センチ。
羽根をぐわっと広げた姿は今にも動き出しそうにリアルで、
鋭い目つきや力強い鉤爪など、精悍で大変迫力がありました。
近くで見てみると、小さな羽根一枚一枚にいたるまで
大変細かい線で表されていて見事なのですが、
上の写真では残念ながらその凄さが全然わからないと思いますので
長吉の別の作品になりますが、ご参考までにこちらの写真も
載せさせていただきたいと思います。
鈴木長吉「十二の鷹」明治26(1893)年/東京国立近代美術館蔵
長吉さんの作業の精緻さがおわかりいただけましたでしょうか
「十二の鷹」はその名の通り、様々な姿の12羽の鷹を、
金・銀・赤胴・四分一・素銅などを使って作り出した作品なのだそうです。
鈴木長吉は、1874年に起立工商会社の鋳造監督に就任。
1896年には帝室技芸員に任命されています。
大作の多くは海外の万博に出品され、アール・ヌーヴォーの名付け親である
フランスの画商ビングが、長吉の「孔雀大香炉」という作品を見て、
「アーティストの手によるもっともすぐれたブロンズ作品」と讃え、
イギリスの現ヴィクトリア&アルバート美術館が莫大な予算を投じて購入したそうです。
このように、長吉の大作は海外の万博などを通してほとんど海外に渡ってしまったため、
日本で実際に見られる作品は少ないそうです。
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本日の参考文献はこちらです!
「近代美術の巨人たち 帝室技芸員の世界」サントリー美術館図録(平成8年)
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