「絵巻で見る・読む 徒然草」 鎌倉時代の随筆を、江戸絵巻と共に楽しむ
カテゴリー/港区/東京都/出張買い取り/くまねこ堂通信美術館の売店でこの本を見かけたとき、思わず
「こういう本を探していたのよー!」
と叫んでしまいました(心の中でです(笑))。
早速読んでみましたが、大変面白かったです!
「絵巻で見る・読む 徒然草」
絵:海北友雪「徒然草絵巻」/ 監修:島内裕子/
訳・絵巻解説:上野友愛/ 朝日新聞社
常々、古文の授業で習ったような古典的作品を
わかりやすい形で読みたいな~と思っていたのに加え、
海北友雪の絵も同時に見られるとは、なんと魅力的!
海北友雪(かいほうゆうせつ・1598~1677年)は、
安土桃山時代を代表する絵師・海北友松(かいほうゆうしょう・1533~1615年)
の子供で、
三代将軍・徳川家光の乳母・春日局に推挙され、
家光の御用絵師を務めるようになりました。
この本は、
「兼好が書いた鎌倉時代末期の『徒然草』の世界が、
江戸時代の海北友雪によって絵画化され、
それを現代のわたしたちが見て読んで楽しむ、という三層構造(本文より)」
になっています。
友雪による美しくユーモラスな絵巻も
原文と併せて掲載されている現代語訳も、
「徒然草」の世界を知る上で大変わかりやすく、
鎌倉・江戸・平成という3つの時代にまたがって楽しむという感覚も、
歴史の中を旅しているようで面白かったです。
一部ご紹介させていただきます。
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「第七十九段」
何事においても、「そのことを知っている」というふりをしない方がよい。
教養のある人は、知っていることだからといって、そうそう物知り顔をしたりはしない。
それに対して、教養のない人に限って、何でも知っているかのような返答をするものだ。
自分をよくわきまえている人は、慎み深く、人からたずねられない限り、口を開いたりしないものである。それがよい。
絵は、赤い服(生半可な知識をひけらかす者)と、静かに耳を傾ける落ち着いた二人(教養のある人)を対比させて描かれているそうです。
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「第七十五段」
何もすることのない状態が耐えられないという人は、いったいどういう心をしているのか。ただひとりで静かに過ごすことこそよいものなのに。
世間に同調しようとすると、まわりにつまらないことに影響されて心が迷いやすく、
人と付き合うと、耳から入る他人の言葉に左右されて、自分の心を素直に表現できなくなってしまう。
まだ悟りの境地に至らなくても、世間から離れて静かに過ごし、心を安らかにすることこそ、つかの間でも人生を楽しんでいると言えるのだ。
無の境地でたたずむ、兼好のリラックスした様子が印象的です。
心の平穏を得るためにも、思索を深めるためにも、
何もしないでボーっとする時間を持つというのは大切なように思われます。
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「第七十四段」
世間の人は、蟻のように集まっては東西に急ぎ、南北に走る。
老若男女、身分もさまざま。それぞれに行く先があり、帰る家がある。
夜には寝て、朝には起きる。しかし、人間は何のためにせっせと働くのだろうか。
人は生きることに執着し、利益を求めてとどまることがないのである。
老いと死は着実に迫ってくる。しかし、名誉や利益に目がくらんでいる人は、
近づく死期に気づかない。また愚かな人は、老いと死に無駄な抵抗をする。
永遠なんてないと知らないのである。
本の解説に、この絵が「まるで現代の、都会の交差点を見下ろしているようだ」
とありますが、本当にそんな印象を受けます。
いわゆる「メメント・モリ」、いつの国のいつの時代にも不変の警句なのですね。
鎌倉時代は1185年頃~1333年だそうですから、
「徒然草」の時代は今からざっと700年くらい前ということになりましょうが、
生活環境も身の回りの道具も今とは全く違うはずなのに、
結局のところ人というのはいつの時代もあまり変わらないんだなあ・・と
いうのが一番の感想でした。
それにしても、こうやってはるか昔に生きた人の言葉も
生き生きと読むことができる、読書とはやはり楽しいものです。
兼好のこんな言葉で、本日の記事をしめくくりたいと思います。
「ひとり、灯(ともしび)の下に本を広げて読書するのは楽しい。
読書は、この世では会えない人の考えに触れ、
昔の人のなかに心の通じる友を見つけることができる。
これほど心がなぐさめられることはない。(第十三段)」
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本日は東京都港区で出張買い取りでした。
買い取り金額2500円を、犬と猫のためのライフボートさんに
ご寄付いただきましたので、
本日ライフボートさんにお振り込みさせて頂きました。
お心遣いに心から感謝いたします、どうもありがとうございました
(ちょこっと猫の手募金:2016年12月収支報告)
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